中国の新型肺炎、専門家「感染状況はSARSと酷似」=中国メディア
中国武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎について、香港の専門家は03年に発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)のまん延状況とほぼ一致していると指摘した。
香港のウイルス研究学者でSARS専門家の管軼氏は20日財新網に対して、武漢で発生した新型肺炎の感染状況の推移は「当時SARSの発生初期の状況と似ている」と指摘した。
同氏はSARSが発生後、研究チームを率いて、広東省の医療機関でSARSウイルスの研究調査を行っていた。管氏のチームは、世界で初めてSARSの原因が新種のコロナウイルスだと特定した。
武漢市政府は2019年12月12日、新型コロナウイルスによる肺炎の感染者を確認したと発表した。これについて、同氏はインタビューで、「医学的には、症例の感染時期をさらに半月から1カ月前倒しにするため、最初の感染者が発症したのは2019年11月20日から12月1日までの間と推測する」と話した。同氏によると、SARSの最初の感染例は2002年11月16日だった。
管氏によると、2003年1月末にSARSの「スーパー・スプレッダー」(感染拡大を引き起こす患者)が現れた。「今日は1月20日のため、今の(患者増加の)状況を見れば、この新型ウイルスのヒトとヒトの間での伝染・適応能力、発症状況と病原力がSARSの発生初期と非常に似ている」
また同氏は、武漢市政府が18日と19日の2日間、新たに136人の感染者が確認されたことについて、「ヒトからヒトへの感染が明白となった」とした。
世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスを2019-nCoVに命名した。
新型ウイルスの遺伝子の8割がSARSウイルスに酷似
AFPの報道によれば、フランスの民間生物・医学研究機関、パスツール研究所(Institut Pasteur)の伝染病研究者、アルノー・フォンタネット主任は20日、2019-nCoVウイルスの遺伝子の8割がSARSウイルスに非常に類似しているとの見方を示した。同氏は、現在新型ウイルスが「SARSと比べて弱い」が、より致命性の高いウイルスに変異する可能性があるとした。
ドイツメディアも15日、国内の専門家が新型ウイルスがSARSウイルスと非常に類似していると話したのを報じた。
中国国営中央テレビ(CCTV)の20日夜のニュース番組で、中国のSARS研究第一人者で国家衛健康委員会で専門家チームのトップを務める鍾南山氏は、新型肺炎は「ヒトからヒトへの感染が確認された」と明言。「ある患者に関わった医療従者14人が全員、感染した」と明かした。さらに、感染者はさらに増えるとの見通しを示し「スーパースプレッダーの出現を防がなければならない」と強調した。
25日の旧正月を迎える中国では、1月10日に帰省ラッシュがすでに始まった。のべ30億人が移動すると予想されている。武漢市は中国中部地域最大の都市で、人口は1100万人。北京~深セン間の南北高速鉄道と上海~重慶間の東西高速鉄道が交差する中国屈指の交通要衝でもある。
(翻訳編集・張哲)