【紀元曙光】2020年1月6日

昨年がんの手術を受け、現在リハビリ中のタレントの堀ちえみさん(52)が芸能活動を再開するという。昨年2月に、ステージ4の舌がんであることを公表し、頚部リンパ節や舌の6割を切除。その後、食道がんも見つかり手術を受けた。

▼堀さんはアイドル歌手として1982年にデビュー。歌よりも話題になったのが、現在の客室乗務員であるスチュワーデスを描いたテレビドラマで、見事に主役を務めたことだ。

▼「私はドジで、のろまなカメです」。堀さんの演じた新人スチュワーデスの松本千秋は、失敗ばかりでいつも教官や先輩に怒られていた。それでも、ひたむきに仕事に向かおうとする懸命な姿は、36年経った今でも多くの人に記憶されている。

▼失礼ながら、女優として演技がお上手だったかどうかは、分からない。しかし、その不器用ぶりが役柄に合っていたのか、意図して役に合わせたのか、いずれにせよ視聴者の印象に深く残った。ドラマを見ていなかった筆者も、なぜか知っているくらいだ。

▼現代の医療では、がんと判ればすぐに本人へ告知する。がん告知の是非が課題となったのは、もはや昔日のことだ。確かに、がん治療をめぐる医療技術の発展は目覚しいものがある。一方、がんにはさまざまな種類やケースがあって、治療が難しいことは変わりない。

▼知っておきたいのは、がんは決して珍しくない病気になっていることだ。自身が、あるいは家族が、当事者になるかもしれない。たとえそうなっても、ひたむきに生きる姿勢を忘れないために、松本千秋、いや堀ちえみさんの健闘ぶりを見守りたい。

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