ひ弱のピューマを前に、悩み抜いたロシア人夫婦が出した結論は?
ロシアに住むアレクサンドルとマリヤ夫妻は、同国ペンザにあるサランスク動物園でひ弱げなピューマ、メッシと出会った。彼は生後8か月で、5か月前に動物園に引き取られたときから病気がちだった。
夫婦はメッシに一目惚れし、自分たちの手で育てようと思うようになった。マリヤは「うまく説明できませんが、このピューマを引き取ることは私たちの運命だったんだと思います」と語った。
彼らはメッシを家で飼うことの道徳的な意味について、考えていないわけではなかった。動物愛護活動家らも異議を唱え、メッシを野生に返すべきだと主張した。夫婦の安全を心配する声も多く寄せられた。
マリヤは「ピューマを飼うことが道徳的に正しいのかどうか、3日間真剣に考えました」と明かした。「ですが私たちの願いに勝るものはなく、動物園に行ってメッシを引き取るための交渉を始めました」
動物園は夫婦の申し出に引き取り驚いたものの、「イエス」と返答した。
手続きを終え、メッシは無事、夫婦との暮らしをスタートさせた。彼はまだ弱く、定期的な運動や食事への配慮はもちろん、獣医に診てもらう必要があった。しかし、アレクサンドルとマリヤはありったけの愛情を注ぎ、メッシは徐々に健康的になった。
マリヤは「こんな大きな猫を家で飼うのは非常に危険です」と述べた。しかし彼らは周囲の人々と自分たちの安全のために、散歩用のハーネスを購入するなどして環境を整えていった。
夫婦はメッシのしつけのため、野生動物のトレーナーを探したが、残念ながら見つけることができなかった。そこでメッシに犬用のトレーニングを受けさせることにした。訓練を受け、メッシはいまでは10種類以上の命令を聞き分けられるようになった。
アレクサンドルは、自分たちのメッシに対する信頼が報われたことを嬉しく思った。「メッシは家族の一員になったことを態度で示してくれました。ちょっとしたイタズラを除いて、彼が悪さをすることはないです。とても穏やかで人懐っこいので、周りの人たちともうまくやっています」
夫婦は、人間の飼育下でしか暮らしたことがないメッシにとって、今いる場所が1番安全で幸せな環境だと信じている。「メッシは特別な動物です」とマリアは愛を込めて語った。
現在2歳半になるメッシは、体調が約41kgに達し、同年齢の野生ピューマの体重の3分の2しかないが、すくすくと育っている。
(大紀元日本ウェブ編集部)