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「娘が知らぬ間に孔子学院を受講させられた」両親が反発=カナダ

カナダのニューブランズウィック州フレデリクトンで、「申請していないにも関わらず、娘は孔子学院を受講させられた」と女子大学生の両親は現地メディアにその不当性を訴え、受講を辞める意向を示した。

カナダ放送協会(CBC)によると、大学生の娘を持つブロンウェン・ボニー(Bronwen Bonney)さんとパーカー・コーツ(Parker Coates)さんは、中国が教案を決定する孔子学院は「本質的なプロパガンダ」であり、人々の考えを操作することを目的としている「洗脳機関」だと述べた。

孔子学院は中国政府が海外で設置した語学教育機関。共産党イデオロギーを広めたり中国共産党を美化したりする「ソフトパワー」の一つと指摘され、米国やカナダで相次ぎ閉鎖に追い込まれている。

2人は、中国政府が新疆ウイグル人や法輪功学習者など何十万もの人々を投獄している問題に触れ、「深刻な人権侵害が起きているにも関わらず、孔子学院を歓迎することは、全くおろかなことのように思う」とCBCに述べた。

CBCによると、保護者から孔子学院について声が上がったのは初めて。2人によると、中国から派遣された孔子学院の教師は、共産党による専制体制や人権問題を口にすることは許されていない。

2人によると、学校や現地政府職員は、毎年夏に「中国語プログラムとパートナーシップ開始または強化」を目的に10日間、中国を訪問している。飛行機チケット以外は、中国当局側が負担する。

ニューブランズウィック州では、初めての孔子学院は2007年に設立され、現在40校で運営されている。2016年までに5441人の生徒がこのプログラムに参加した。

今年2月、同州のドミニク・カルディ教育長は、孔子学院の教案には中国の見方について「一面しかない」とその偏向性を批判し、6月までに省の孔子学院を閉鎖する意向があるとした。

いっぽう、ブレイン・ヒッグス州長は2022年までの契約を尊重するべきだとして、意見は対立している。

カルディ教育長は、孔子学院の仕事について「人類史上最も多くの死者を出している(共産党)政府と海外との友好のために、明るい笑顔を作りだすことだ」とCBCに語った。

2018年2月、全米学識者協会のピーター・ウッド代表は、米国高等教育クロニクルに寄稿して、「中国の高名な思想家・孔子の名を付けているが、中国の影響力を拡大するための道具として利用している」と書いている。

ウッド代表によると、米大学内のごく一部の人物しか孔子学院と大学の契約内容を知らない。政府系の文化教育機関は英ブリティッシュ・カウンシル、仏アリアンス・フランセーズ、独ゲーテ・インスティトゥートなどがあるが、孔子学院の不透明さは「ほかのどんな外国教育機関とも異なる」という。

2017年に孔子学院について調査報告を発表した全米学識者協会ディレクターのレイチェル・ピーターソン氏によると、孔子学院の教材には、中国共産党が敏感話題と位置付ける事件や事案について取り上げていない。1989年の学生運動弾圧・六四天安門事件や、迫害されている法輪功、地下教会、ほかチベット、新疆ウイグル自治区の人権侵害問題に触れていない。また、台湾や香港の両岸関係にも言及はなく、共産党政権のイデオロギーを全面的に肯定する内容だという。

孔子学院と高等教育以下に設けられる「孔子課堂(クラス)」は現在、世界130の国と地域に1500カ所以上ある。中国国務院は、孔子学院は「核心価値である社会主義を基礎とした教育を広める」「中国の夢を宣伝する」ことを目的としていると説明している。当局によると、2020年までに世界で1000カ所の孔子学院の設置を目標に掲げている。

米国では、過去1年間で10以上の大学が孔子学院を閉鎖した。4月、インディアナ州立大学は孔子学院の閉鎖を発表した。

オーストラリア連邦司法省は3月13日、国内にある13の孔子学院に対して、昨年連邦議会で可決された内政干渉やスパイ活動を阻止する「外国人干渉防止法案」に基づいて、「外国代理人」の登録を行うよう通達を出した。

英国議会の委員会では3月末、孔子学院に関する調査報告を発表。代表著者のフィオナ・ブルース議員は、孔子学院は言論や学術の自由に対する脅威であり、中国共産党政権のプロパガンダを広げる組織だとした。

2018年2月、連邦捜査局(FBI)クリストファー・ライ長官は米議会で、孔子学院を監視対象にしていると述べた。

(編集・佐渡道世)

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