Getty Images
温故知新

推敲(すいこう)から学ぶ 一文字も大切にする精神

「おす」「たたく」 この二つの文字の組み合わせにより「推敲(すいこう)」という言葉が生まれました。

文章を書かれる方は日ごろよく耳にする言葉ではないでしょうか。その由来はの時代にさかのぼります。今回はあらためてこの言葉の意味を考えてみたいと思います。

里山に住む李凝(リー・ニン)の家を訪ねた詩人・賈島(ジャ ダオ、779~843年)は、一つの詩を吟じました。

閒居少鄰並,草徑入荒園。

鳥宿池邊樹,僧推下門。 

過橋分野色,移石動雲根。

暫去還來此,幽期不負言。

詠んでみると、月夜の晩に門を推すよりも、敲くがふさわしいのではないかと、思案しはじめました。道すがら「推す」か「敲く」か、ということに没頭していました。

前方から、長安の都知事・韓愈(ハン・ユ、768~824年)の行列が向かって来るのにも気が付かず、その中に踏み込んでしまいました。

韓愈:貴殿はなぜ我が行列に突っ込んできたのか。

賈島:実は、推すか敲くかで思い悩んでおりました。

漢詩の大家でもあった韓愈は賈島の才能を見抜きました。

「人里離れた静寂な地であろうがゆえに『敲く』がよろしかろう。いきなり『推す』では礼を失することになり、その場の雰囲気にもそぐわなかろう」と、助言しました。

納得した賈島は韓愈のことを「一字師」と称し敬い、その後意気投合した二人は詩についての話に花を咲かせたそうです。

詩(文章)の一文字を決めるにしても、我を忘れるほどに考えを重ねる、一文字も大切にする、このような精神こそが「推敲」の真髄ともいえるのではないでしょうか。

(文・田 秀久)※看中国から転載

関連記事
ひまし油は古くからさまざまな健康トラブルに使用されてきました。現代でも、自然療法士やホリスティックケアの専門家が、ひまし油パックを活用して免疫サポートや便秘解消、ストレス軽減など、多くの効果を得るためのサポートを行っています。
新たな研究で、子どもが使用するスキンケア製品がホルモンバランスを崩す化学物質を含む可能性が指摘されました。子どもの健康リスクを減らすため、製品選びのポイントをご紹介します。
ミラノといえば高級ブランドが思い浮かぶかもしれませんが、実はそれだけではありません。24時間で楽しめる歴史的な名所や自然、美術館など、さまざまな魅力が詰まった都市です。
アメリカで依然としてエリス変異株が主流である中、科学者たちは新たなCOVID-19変異株「ピロラ」(BA.2.86)に注目しています。ピロラは多くの変異を持ち、免疫回避の可能性が指摘されていますが、感染力は低い可能性もあります。現在のワクチンや治療法が効果を持つことが期待され、今後の監視が続けられます。
マディセン・ウィルコックスさんと夫のダリンさんは、胎児チャーリーが致命的な診断を受けた中で、信仰に基づいた選択をしました。彼らは困難な状況下でも妊娠を続けることを決意し、この経験が家族全体にとって大きな教訓と祝福をもたらしたと語っています。