中国通信大手ファーウェイが「当局にアクセスコードを提供」=豪メディア
オーストラリア政府関係者が入手した機密調査報告書はあらためて、中国通信大手の華為技術(ファーウェイ)と中国当局が緊密的な関係にあることを指摘した。同報告書によると、中国情報機関は海外で浸透工作を展開するため、ファーウェイの社員に海外のインターネットのアクセスコードを提供するよう要求していた。豪メディア「ウィークエンド・オーストラリアン」電子版が3日報じた。
オーストラリア国家安全当局の情報筋はウィークエンド・オーストラリアンに対し、サイバー攻撃やサイバー諜報活動において中国企業が積極的な役割を果たしていると強調した。
同報道は、報告書に記された中国当局によるサイバー攻撃の対象や実施の具体的な日時について言及しなかった。また、中国当局によるサイバー攻撃の対象となったのは他国のネットワークで、オーストラリアのネットワークではないとした。また、中国情報機関がネットワークにアクセスできるよう、ファーウェイの幹部に対し、同社が生産販売する通信設備を購入した国や地域または個人に関する登録情報とパスワード等を提供するよう求めたという。
豪政府は8月、国内通信・情報セキュリティの懸念から、中国通信大手のファーウェイとZTEを、国内の5G(次世代高速ネットワーク技術)構築から排除した。
一方、ファーウェイは中国当局や人民解放軍との関係を否定し、諜報活動に関与していないと主張してきた。
オーストラリア通信電子局のマイク・バーガス局長は10月29日、キャンベラで開催されたサイバーセキュリティの関連イベントで、ファーウェイとZTEが「危険性の高い企業」であると指摘した。また、5G技術の整備は国民生活に関わる重要な通信インフラであるため、豪国内のサイバーセキュリティを考慮して5G構築から2社を除外することを支持する考えを示した。
だが情報産業に対する中国政府の支配は強まるばかりだ。昨年実施された中国の「国家情報法」では、中国の情報機関は必要に応じて中国国民・組織・企業に対し協力を求めることができると定められた。
オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)のダニエル・ケーブ(Dannielle Cave)氏はウィークエンド・オーストラリアンに対して、「国家情報法」の実施で、ファーウェイなどの中国企業が中国当局支配下にあることが明確になったとの見方を示した。また、ファーウェイが、中国情報機関によるアフリカ連合本部での盗聴・監視活動に関与している疑いがあると指摘した。
米中央情報局(CIA)は2011年10月に公表した調査報告書で、過去3年間にファーウェイは中国当局から2億5000万ドル(約283億円)の資金援助を受け、当局のために諜報活動を行ったと指摘した。
(翻訳編集・張哲)