爆買いに打撃 中国税関の摘発強化に個人輸入業者が不満噴出
海外で買い物サービスを請け負う代理購入者は、中国各地の税関で一定量以上の商品を持ち込んだとして罰金を課せられた、と相次いでインターネットに投稿した。海外の爆買いブームを長い間けん引してきた同サービスへの摘発は、爆買いに打撃を与えるとの見方が出ている。
インターネットの投稿によると、9月28日、上海浦東国際空港で税関職員が中国人の旅行客に対して徹底的な荷物検査を行った。個人の使用では考えられない大量の化粧品、腕時計を所持する人に多額の罰金を科したという。スーツケースを開けたまま検査を待つ人が長蛇の列を作った。検査は当日の昼間から翌日早朝の1時まで続いたという。
香港から深センに入る出入境検査所の福田口岸でも、深セン市税関当局が同様の検査を実施した。
中国税関当局は、中国住民が外国で取得した総額5000元(約8万3200円)以上の物品がある場合、申告をしなければならないと定めている。
海外で購入したリップクリーム、スキンケア化粧品、カバン、腕時計、電子製品などが罰金の対象となった。ある投稿によると、税関職員は女性用フェイスパックを1枚ずつ数え、超過分のフェイスパック1枚に対して20元(約333円)の罰金を科したという。
SNS上で、検査を受けた代理購入業者によると、世界ファッションブランド「トム・フォード(Tom Ford)」の口紅10本に1800元(約3万円)、フェイスパック3箱に200元(約3300円)以上、スイス高級筆記具ブランドのモンブラン(Montblanc)のカバン1個に900元(約1万5000円)の罰金が科せられた。これに対して、「税関は気が狂ったのか」と非難する声が上がった。このような厳しい摘発は初めてだという。
中国当局は来年1月1日に『電子商務法』を実施する。SNSを通じて商品、サービスを提供する(個人)も電子商取引業者と見なす、と規定した。個人の代理購入やSNSの微信(ウィーチャット)でビジネスを行う「微商」も営業許可を取得し、「納税しなければならない」という。
新法の実施によって、代理購入ビジネスが衰退する可能性が高まり、各国の小売業にも影響が出そうだ。
中国当局は2016年、爆買いに歯止めをかけるため、外国で購入した商品の税率を最大60%と大幅に引き上げた。
近年、中国産製品への不信感の高まりによって海外製品への需要は増加した。SNSの普及やネット販売の台頭を受け、2005年以降、代理購入サービスは拡大した。個人間の取引のため、各種税金を支払う必要がなく、商品は中国で購入するよりもかなり割安な値段で販売されている。
中国市民「関税を撤廃せよ」
税関の摘発についてネット上で議論が白熱化している。ポータルサイト「網易」の記事に2日、3万2809件のコメントが寄せられた。
トランプ米政権と同様に、中国の高関税に不満を持つ中国市民が多く、「なぜ関税を減軽しないのか?国内の価格が海外より安ければ、代理購入ビジネスの広がりもなかったじゃないか」との声があった。
また、「10~60%の関税と17%の輸入増値税を合わせた税率を見なさいよ!どの国にこんな高い税率があるのか?しかも、人民元の為替レートを考えなければならない」と正規輸入品の税率の高さを嘆いた。
いっぽうで、「関税を撤廃して、海外製品の価格を市民が受け入れられる水準まで安くしたら、国産品を買う人はいなくなるだろう」との意見もあった。中国人の国産品に対する不信感が見てとれる。
(翻訳編集・張哲)