世俗から離れ心を静める

陶淵明(とうえんめい、365年―427年)は、中国の六朝時代の東晋末から南朝・宋にかけて活躍した詩人である。

官僚が肌にあわず、陶淵明は40歳にして隠匿生活を送った。そして畑を耕しながら詩を書いた。自身の死期を悟る挽歌の詩も残されている。いかに平穏な境地にあったかをうかがい知ることができる。

人生は大河に浮かぶ小舟のようなものである。順風も逆風もあり、自分で風向きを決めることはできない。いつ岸辺にたどり着くのかもわからない。波浪に翻弄され転覆の憂き目にあうかも知れない。この世の名利も吹く風のように消え去っていく、はかないものである。何ごとにもとらわれず安らかにあれば、出会うものすべて一つの情景となり心に溶け込んでいく。

様々なことへの追求に腐心することにより、人の心は傷つけられていくのであろう。われわれの生活に真に符合する存在はそれほど多くはない。求めるべきではないものを求めることにより、苦痛という別のものが生じてきてしまう。自分が本来あるべき姿に戻る(返本帰真)-ということが唯一求めることが許される、人生の本当の意義なのである。

李白杜甫白居易蘇東坡辛棄疾といった後世の名だたる詩人らは、陶淵明の田園詩の影響を受けたと言われている。

陶淵明が表す牧歌的な詩の世界(出典:ウィキペディア)

(編集・文亮)

関連記事
寒い季節こそ、ゆったり過ごし心身を整えるチャンス。睡眠や食事、メンタルケアで冬を快適に楽しむ方法をご紹介します。
50年以上前から次世代の食料として研究されてきたオキアミ(プランクトン)。クジラなどの海洋性生物にとっては生存のための原初的な存在だ。そのオキアミからとれるオメガ3が注目されている。本文にあるようにオメガ3は人の健康にとっても有益なものだ。クリルオイルは、オメガ3と抗酸化成分が豊富で人気のある健康補助食品。フィッシュオイルに比べてコストが高い点が難点だが……
仏に対抗しようとした調達が、暗殺未遂や陰謀を重ねた末、地獄に堕ちるまでの報いの物語。
「犬に散歩される」気の毒な飼い主たち、笑っちゃってゴメンの面白動画→
過度な運動や減量で陥りやすい「低エネルギー可用性」。エネルギー不足が体に与える影響とその対策について、専門家のアドバイスを交え解説します。