「中国製造2025」に打撃、豪政府がファーウェイの5G関与を禁止
豪政府が中国通信大手の華為技術(ファーウェイ)に5Gを使った無線ネットワークへの参入を正式に禁止した。ファーウェイは23日、Twitterで発表した。
海外複数のメディアによると、豪政府は声明で、「オーストラリアの法律と相反する外国政府から司法管轄外の指示を受けている可能性が大きい」通信機器メーカーが関与すれば、オーストラリアの携帯電話会社が「不正アクセスや干渉から5Gネットワークを守ること」ができなくなる可能性があると説明した。同政府はファーウェイのほか、中国通信大手の中興通訊(ZTE)も禁止対象にした。
ファーウェイなどの中国通信企業は近年、中国当局の支援を受けて、5Gの技術開発と国際規格標準化の主導権をめぐって欧米の同業大手と競争してきた。ロイターは、豪政府の決定が、中国当局が掲げる製造業振興策「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025」に大きな打撃を与えたとの見方を示した。
英市場調査大手IHS Markitの調査では、超高速5Gネットワークの普及で、2035年まで世界経済に約12兆3000億ドルの経済効果をもたらすと示されている。
英BBCによると、米国が2010年4Gネットワークの採用と普及を主導したことで、米通信産業による国内総生産(GDP)への貢献が毎年4750億ドルで、2016年米GDPの2.6%に相当し、470万人の雇用機会を創出した。
中国当局は5G技術の主導権を握ることで、米国に肩を並べる世界経済大国へのまい進と、5Gに基づく人工知能、ロボット技術、車の自動運転などハイテク分野において支配的な地位を狙う。このため、当局は、5G技術を「中国製造2025」計画で最重要分野として位置付けた。
米ウォールストリート・ジャーナルの報道によると、世界3位のスマホ大手であるファーウェイは近年、5G技術開発に投資を増やしており、すでに10億ドルを投入した。今年に入ってから、開発にさらに8億ドルの資金を投じた。
ファーウェイの技術開発部門には約8万人のスタッフがいるとされる。
同社は今年2月、世界各国45社の通信企業との間で、5Gネットワーク実証実験の契約を結んだと発表した。欧州同業大手のノキアやアリクソンが公表した実験契約件数を超えた。
一方、欧米各国政府は近年、ファーウェイが同社の通信製品を通じてユーザーの個人情報や各政府機関の機密情報などを盗み出し中国当局に転送し、「中国当局のスパイ機関」として警戒感を強めた。
トランプ米政権が今月14日に成立させた「2019会計年度国防権限法案」では、米政府機関とその取引企業に対して、ファーウェイおよび中興通訊(ZTE)の通信製品の使用を禁止すると定めた。
(翻訳編集・張哲)