ドイツのベルリンで2014年9月に開かれたIFA家電展示会で、LEDテレビを撮影する男性。参考写真 (Sean Gallup/Getty Images)

LED知的財産の窃盗で、中国の技術者に70億円の賠償を請求=米裁判

米国の照明企業が中国の技術研究の元社員と中国企業CEOを相手取る民事訴訟で、カリフォルニア州の裁判所は、知的財産を不正に盗んだことによる損害賠償として6600万ドル(約70億円)の支払いを命じた。

サン・ジョセにある上級裁判所は8月13日、米照明大手ルミレッズ(Lumileds)に勤めていた陳剛毅氏が、同社の機密扱いの情報を、新たな就職先である中国広東徳豪潤達電気(Elec-Tech Internatonal、ETI)に渡したことを、知的財産の窃盗とみなした。

陳氏は2005年1月から2012年6月までルミレッズの技術研究員だった。同社の訴状によると、被告は営業機密から何千ものファイルを中国に運び、ETIのLED技術開発を手伝った。弁護士によると、6600万ドルの賠償請求額は、技術の盗用により節約できた研究開発費用として算出された。

ルミレッズによると、陳氏は同社を離職して中国に帰国する前に、ETIとすでに雇用契約を結んでいたという。深セン証券取引所の上場企業であるETIで、被告は副社長として採用され、給与は年62万1000元(約900万円)ほど。

ルミレッズCEOマーク・アダムス氏はこのたびの勝訴を受けて「われわれは貴重な知的財産権を保護するため、司法機関、法執行機関、政府機関と引き続き協力する」とコメントを発表した。

陳氏とETIのCEOは、控訴する予定だ。ETIの担当弁護団は「独自にLEDを開発しており、ルミレッズの技術を採用していない」と主張している。

知的財産の侵害を受けたとして、ルミレッズは2014年に刑事裁判を試みたが、米国コンピューター犯罪を取り締まる「コンピューター詐欺および不正利用防止法」には、陳氏とETIの件は当てはまらないと裁判官は判断した。

ETI役員である陳氏の経歴が、中国ソーシャルサイトに掲載されている。それによると、中国科学分野では最高峰の清華大学を卒業したのち、イェール大学で修士、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で、化学工学の博士を取得した。

トランプ大統領は知的財産の流出を厳しく取り締まっている。ここ数カ月で米国の民事訴訟や連邦捜査局(FBI)が、米技術を中国に流出させた中国人を起訴した事案は複数、報じられている。

中国は現在、世界製造大国との目標を掲げ、中長期政策「中国製造2025」計画を進めている。この計画は海外技術の入手、中国の合弁企業からの強制技術移転について言及している。FBIが摘発した事案の多くは同計画に関係する。

(編集・佐渡道世)

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