米政府、南北の「終戦宣言」要請を拒否 「米国の優先順位は非核化」
北朝鮮は8月3日と4日にわたってシンガポールで開かれた第25回東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムの閣僚会合で、米国側に、北朝鮮制裁の緩和と終戦宣言を要求した。しかし、米国は非核化が先に行われない限り制裁継続を主張し、北朝鮮の核問題における米朝間の食い違いが鮮明になった。米政府は、韓国側閣僚との非公開会談でもこのような考えを力説したと伝えられている。米韓朝の意見違いが解決されないまま交渉が続くと、韓国政府の主張する「年内終戦宣言」が米韓関係を悪化させるという懸念も出ている。
朝日新聞ソウル支局長である牧野愛博氏は6日、米ラジオ・フリーアジア(RFA)のインタビューで、「徐薫・韓国国家情報院長が7月25日~29日に米国を極秘訪問し、ジーナ・へスペル米中央情報局(CIA)長官とマイク・ポンペオ米国務長官との会談で『南北首脳会談を8月末に繰り上げたいから終戦宣言の採択に協力してほしい』との要請に、『今は北朝鮮に圧力をかけなければならないとき』と断られた」との内容を伝えた。
ホワイトハウスでも同じ気流が読み取れる。ジョン・ボルトン米国家安保補佐官は5日、米フォックスニュースとのインタビューで、「南北交渉は、彼ら(南北)に重要なのであって、米国の優先順位ではない」と述べ、米国の優先順位は北朝鮮の非核化であることを強調した。ボルトン補佐官は6日のインタビューでも、「対北朝鮮制裁の効果が弱まることを容認しない」と伝え、米国は制裁を維持するために強制的な措置など必要な手続きを踏むとの意見を示した。
ホワイトハウスは、最近終戦宣言と平和協定の締結を促す米国内請願に対しても原則的な立場を出すだけで、即答を避けている。先月25日に発信されたドナルド・トランプ米大統領の行政命令についてホワイトハウスは「北朝鮮のミサイル攻撃から国民を保護するためにミサイル防衛システムを強化する」と言及しただけで、終戦宣言と平和協定は取り上げなかった。
また、北朝鮮核問題を巡る六者会合の米国側首席代表だったクリストファー・ヒル元国務省アジア太平洋次官補は6日、RFAとのインタビューで、ヒル氏は「北朝鮮は非核化の前に、北朝鮮との関係を正常化するように要求しているが、これは非常に間違ったこと」と述べ、米国は北朝鮮が完全に非核化をするまで、制裁解除はもちろん終戦宣言、平和協定締結をしないと説明した。
韓国政府の主張する「年内終戦宣言」が韓国と米国の間を遠ざけてしまうとの観測もある。米国海軍分析センター(CNA)のケン・ゴス局長は「韓国の年内終戦宣言は、北朝鮮の立場に傾いている」と述べ、韓国は米国が終戦宣言を支持しないと失望し、中国はこれを利用して、韓国を米国から剥離しようとするのではないかとの見方を示した。
(翻訳編集・齊潤)