環太平洋合同演習、日本期待の排斥能力 対艦ミサイル発射も=専門家
2018年環太平洋合同演習(RIMPAC、リムパック)が6月下旬から8月初めまで、太平洋の米領ハワイ諸島で行わている。社会主義政権であるベトナムは、このたび演習に初参加した。専門家は、アジア太平洋地域における中国の軍事プレゼンスが拡大するなか、米国が対抗手段として、アジア太平洋諸国と堅く協調していることを示す狙いがあるとみている。
今年の軍事演習には26カ国から2万5000人の兵力、戦艦や潜水艦など52隻、航空機200機ほどが参加する。参加国は〇ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、〇イスラエル、日本、マレーシア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ペルー、韓国、フィリピン、シンガポール、〇スリランカ、タイ、トンガ、英国、米国、〇ベトナム(〇は初参加国)。
米シンクタンクのCNA海軍解析センターの上級研究員ロジャー・クリフ氏は米政府系VOAの取材で、米軍の目的は「志を共にする」国と訓練を実施し、アジア太平洋地域における中国の影響力を抑制することだと語った。特に、中国不在のなかで、最も中国に近いベトナムが参加することは意義深いとした。
ベトナム国防省によると、ベトナムは8人の海軍職員を派遣した。船舶は参加していない。
米軍紙スター・&・ストライプスもまた、米国はベトナムは潜在的なアジア太平洋地域の均衡をとる力があると見なしていると報じた。
2016年以来、米国とベトナムの関係は強化している。2016年、米国はベトナムへの殺傷力ある武器の販売禁止を解いた。2018年3月、米国空母は40年ぶりにベトナム港に寄港した。日本官製の外交専門誌「外交」 によると、ベトナムは日本の提唱する「自由で開かれたインド太平洋戦略」の重要なパートナーだという。
日本が期待する排斥能力 米軍の対艦ミサイル
軍事演習には、災害救援、水陸両用作戦、海賊対策、ミサイル射撃、地雷除去、海上保安、対潜水艦戦、防空作戦などがある。米軍は専門特殊部隊がリムパックに初めて参加する。
実弾演習では、特殊部隊が海上の船舶を沈める「海軍打撃ミサイル」を発射する。上空では「長距離対艦ミサイル」を発射する予定。
米紙ポピュラー・マシーナリーによると、ますます軍事力を強化させる中国海軍に対抗して、米空軍B-1B爆撃機は、新しい「長距離対艦ミサイル」を発射する可能性が高い。同紙は、日本が「島に配備された対艦ミサイルが、日本の排他的経済水域を頻繁に通過する中国艦隊に圧力をかけることができる」ことを証明したいと望んでいる、と報じた。
陸軍の「海軍打撃ミサイル」は、地上の海岸線または島に配備を想定し、数千平方キロメートル離れた洋上の敵艦隊を排除できる能力を示す。
中国共産党メディア・環球時報は、中国専門家の話として、リムパックのプログラムのかなりの割合は、中国を対象と想定しているとの分析を報じた。
5月23日、米国防総省は、リムパックに参加するための中国への招待をキャンセルすることを決めた。米国防総省の関係者は、中国の南シナ海における人工島の軍事拠点化に対する予備対応だと語った。
中国は以前、2014年と2016年のリムパックに参加した。中国はまた演習を監視するためにスパイ船を送ったと言われている。
(編集・甲斐天海)