貿易戦に焦りか 中国大使、カナダ・英に「米と戦おう」呼びかけ
駐カナダ中国大使はこのほど、同国の有力紙で「カナダ政府は中国とともに米に対抗するよう」呼び掛ける記事を発表した。トランプ米政権の対中貿易制裁が強化されるなか、中国当局は焦りを見せている。
盧沙野・中国大使は8日、「グローブ・アンド・メール」紙で米政府の関税追加措置は「貿易保護主義」と批判し、「中国国民の利益を損なう」「世界経済と貿易に混乱をもたらした」と糾弾した。
盧大使は、米国に対抗すると「カナダと中国は共通の利益がある」として、カナダを味方にしようとした。
しかし、その後同記事が更新され、「共通の利益」の文言が消え、「中国はカナダと連携し、貿易保護主義の広がりを止めたい」に変更された。
劉暁明・駐英中国大使も5日、英紙「デイリー・テレグラフ」で、盧大使と同様の評論を発表した。劉大使は、中国企業が米の知的財産権を侵害しているという米側の主張を否定したうえで、技術産業の分野で中国は今後イギリス、そして欧州連合(EU)との連携を強化するべきだと主張した。
一方、カナダ紙「グローブ・アンド・メール」によると、カナダのアルバータ大学中国研究所のロン・マッキントッシュ氏は、中国当局の味方になる国は少ないと指摘した。米の対中貿易制裁強化によって、中国当局が市場開放を拡大する可能性が高いからだ。
マッキントッシュ氏は、カナダの世論も「中国当局は国際貿易において、基本ルールに一部違反している」と認識していると述べた。
米政府は3日、500億ドル相当(約5兆3500億円)の中国製品に対して25%の追加関税を課すと発表した。翌日、中国当局は報復措置として、米国産大豆など106品目に対して25%の関税率を上乗せすると公表した。米と同様の500億ドル相当だという。
しかし5日、トランプ米大統領は、中国製品への追加関税措置で、さらに1000億ドル(約10兆7000億円)相当の品目について検討していることを明らかにした。
(翻訳編集・張哲)