中国全国人民代表大会の報道官は4日、国家主席任期撤廃についてコメントを行った。写真は16年3月7日北京・人民大会堂にいる警備スタッフ。(GREG BAKER/AFP/Getty Images)

中国当局、国家主席任期撤廃に初言及 「指導体制に有利」

中国当局は4日、国家主席・副主席の任期撤廃をめぐる改憲案に関して、初めて公にコメントした。

中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開幕する前日、全人代の張業遂報道官は記者会見で、今回の全人代について、政府工作報告や改憲案草案や監察法草案の審議を含む10の議題があると述べた。

それに対して、米メディアCNNの記者が国家主席の任期撤廃について質問をした。張報道官は、「中国共産党の党規約では党の総書記および軍事委員会主席の任期について、または憲法でも軍事委員会主席の任期について、『連続任期として2期を超えてはいけない』との規定はない」と語った。

張報道官は、憲法における国家主席の任期について、それに統一させることは「習近平同志を核心とする党中央の権威と統一的な指導を守る」との認識を示した。

中国共産党機関紙・人民日報は1日、国家主席の任期撤廃についての改憲案は「3位一体(党の総書記・軍事委員会主席・国家主席との3ポストの一体化)との指導体制」に有利だとの評論記事を発表した。また、「改憲案は、党と国家指導者・幹部の退任制度の変更、または指導者・幹部の職務の終身制度も意味しない」と強調した。

中国政府系メディアは2月25日、共産党中央委員会が、憲法で定める国家主席・副主席の任期について「2期10年を超えてはいけない」との内容を撤廃するとの改正案を提出した、と報道した。この後、国内外では中国共産党が終身権力集中に向かっていると批判が相次いだ。

仏メディア「ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)」によると、米シンクタンクのブルッキングス研究所シニアフェローのジェフリー・ベイダー氏は、中国共産党の改憲案は「習近平氏の権力基盤がまだ不安定であることを浮き彫りにした」との見解を示した。

在米中国人評論家の胡平氏は、「任期撤廃をめぐって中国共産党の上層部では激しい権力闘争が繰り広げられた。今後、よりし烈な闘争が展開するだろう」と推測した。

(翻訳編集・張哲)

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