10月25日、中国最高指導部の新人事が決定された。2期目の習近平政権では習氏に近い人物が多く登用された。(WANG ZHAO/AFP/Getty Images)

中国共産党新指導部、江沢民勢力が後退

中国共産党は現地時間25日正午ごろ、党大会閉幕日の24日に選出された第19期中央委員会による第1回総会(1中全会)を開催し、最高指導部である第19期党中央政治局常務委員会(7人)と最高指導部に次ぐ党中央政治局委員(25人)の人事を選定した。新最高指導部人事には習近平国家主席に近い人物が多く登用され、党内江派勢力が後退した。

新しい常務委員は序列順で、北京人民大会堂で開かれた記者会見に現れた。習近平国家主席と李克強首相が再選出され、序列1位と2位を維持。序列3位から7位は、栗戦書・党中央弁公庁主任(67)、汪洋・副首相(62)、王滬寧・党中央政策研究室主任(62)、趙楽際・党中央組織部長(60)、韓正・上海市党委員会書記(63)となっている。

新常務委員となった5人のうち、党内江沢民派人員は韓正氏だけで、栗氏など4人は習近平氏の側近だ。

習近平国家主席の後継者候補とされた胡春華・広東省党委員会書記と、習主席の側近の陳敏爾・重慶市党委員会書記などの最高指導部入りが実現されなかった。ただ、両氏は中央政治局委員に選ばれた。

2期目習近平政権指導部の顔ぶれを見ると、「ポスト習近平」とされる次世代リーダー候補がみられない。習近平氏は5年後の党大会で3期目を続投する可能性が高くなった。同時に習氏は、「後継者を任命する」との党内慣例を打ち破ったことを証明した。

また、習近平氏は権力集中を一段と強化するため、今の「党総書記制度」に代わって「党主席制」(1980年代に廃止)を導入すると伝えられたが、結果的に「党主席」の復活は見送られたようだ。

しかし一方、中国共産党内において、昨年習近平氏の「核心」地位がすでに確立したうえ、24日党大会閉幕日で、習近平氏の名前を冠した『習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想』(習思想)を党規約に盛り込むことに成功した。習氏は、毛沢東、鄧小平に並んで、党内において絶対的権威を獲得した。

軍の最高指導機関である党中央軍事委員会の人事も発表された。習近平氏は同委員会の主席を兼任する。許其亮・副主席を再任し、制服組トップになった。また、張又俠・前軍事委員会装備発展部長も、副主席への昇格を果たした。両氏とも、習近平氏に近い関係にある。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]