周小川人民銀総裁 (Photo credit should read SAUL LOEB/AFP/Getty Images)

周小川人民銀総裁 中国経済の「ミンスキー・モーメント」を警告

中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は19日、中国経済について、過剰な楽観主義によって株や不動産などの資産価格が急落する恐れがあると警告した。今期限りで退任するとみられる周総裁は、「ミンスキー・モーメント」という異例な文言で中国金融危機発生への懸念を示した。

英紙・フィナンシャルタイムズなど複数の海外メディアによると、周総裁は19日、開催中の党大会に合わせて行われたイベントで発言した。周総裁は「経済の中の正循環的な (Pro-cyclical Factors)要因が多ければ、後に循環的な調整が現れる」「すべてが問題なく進んでいるとき、過剰に楽観的になることで(資金の)ひっ迫が増すため、急激な調整につながる『ミンスキー・モーメント』に直面する可能性がある。われわれはこれを防ぐ必要がある」と述べた。

「ミンスキー・モーメント」とは経済に隠れているリスクが急に現れることによって、資産価格が急落し、大規模な債務不履行が起きる瞬間をさす。米経済学者のハイマン・ミンスキー氏にちなんで命名された。ミンスキー氏は、景気拡大で投資家や企業の過剰な楽観的心理から過剰に融資を受け、投資・投機活動を行うことによって、金融市場に不安定要因が増加すると説く。

▶ 続きを読む
関連記事
中国の夜空でドローンが「謎の霧」を散布。十数省で相次ぎ報告され、焦げた臭いに住民が騒然。当局は沈黙したまま…何が起きているのか。
中国の鉄鋼業は不動産不況やインフラ投資減速により縮小傾向。2025年までに鉄鋼輸出が5割減少すると指摘している
小野田紀美科学技術相は5日の記者会見で、南鳥島沖で進められる国産レアアース採掘に向けた深海試験について、「我が国の経済安全保障上、極めて重要な取り組みだ」と述べ、研究開発への期待を示した。
中共外交部の報道官が数日間にわたり、サンフランシスコ平和条約(1951年)の合法性を否定し、国際法上の効力を持つのはカイロ宣言とポツダム宣言であると強調したことが、国際社会や法学界で議論を呼んでいる。日中間で「台湾有事」をめぐる外交的緊張が高まるなか、事態は新たな局面に入った
中国河南省で転落事故後に死亡した14歳少年の臓器提供を巡り、母親が「手はまだ温かかった」と疑念を示した。死亡判定や手続きの透明性にネット上で関心が高まり、事例は国内で波紋を広げている。