イタリア中銀、ECBからの引当金増額要求に条件の緩和求める=関係筋

[ローマ 5日 ロイター] – 欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏内の銀行に貸倒引当金の積み増しを要請する方針を示したことに対し、イタリア中央銀行は条件の緩和を求めている。同中銀の関係筋がロイターに対し明らかにした。

ECBは4日、新たに不良債権として分類された貸出債権について来年1月1日から2年以内に、額面の100%に相当する引当金の計上を提案した。有担保の不良債権については7年以内の引当金計上を求める。ECBは12月8日まで意見募集を行う。

これに対しイタリア中銀の関係筋は、有担保ローンを新規制から除外することを望んでいると表明。既存の不良債権は新規制によって影響を受けないと保証することも求めた。

イタリアの銀行の不良債権のうち、半分近くを有担保ローンが占めており、バランスシートを圧迫している。

中道左派与党・民主党を率いるレンツィ前首相は「正気とは思えぬ自滅的な選択だ」とのコメントをウェブサイトに掲載。「ECBが強制しようとしているメカニズムでは、中小企業への融資がほとんど不可能になる。そして他の銀行、口座保有者、預金者へと打撃を与えることになるだろう」と述べた。

イタリアの銀行はユーロ圏の不良債権9150億ユーロ(1兆1000億ドル)のうち30%近くを保有している。投資家の間では、ECBの新しい指針により不良債権の償却がさらに増えるとの懸念が出ている。

複数のアナリストが、イタリアの銀行に悪影響があるとの見方を示したため、5日の銀行株は続落した。

 10月5日、欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏内の銀行に貸倒引当金の積み増しを要請する方針を示したことに対し、イタリア中央銀行は条件の緩和を求めている。写真は昨年1月撮影(2017年 ロイター/Stefano Rellandini)
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