韓国THAAD追加配備、北朝鮮へ更なる圧力強化
韓国国防部は7日、高高度防衛ミサイル(THAAD)の発射台4基と関連機器を、在韓米軍基地に搬入完了したと発表した。これにより一つの砲台機器が完備され、実質的にTHAADの韓国配置が完了し、在韓米軍による作戦運用が可能となる。追加配備に中国外務省と国営メディアは強く反発、中韓関係の悪化と韓国に向けたより強力な経済報復措置が予想される。
デモ参加者らと警察が衝突 韓国大統領、声明を発表
7日午前、THAAD機器を載せた米軍車両10台が基地に進入する途中、反対デモ参加者らと警察が衝突、警察や住民など約20人の負傷者が出た。文在寅・韓国大統領は8日夜、メッセージを発表し、「(THAAD完備は)いまの状況で、政府が取りえる最善の措置」とし、国民に理解を求めた。また、議論されてきたTHAADの環境による影響については「公開的かつ科学的な追加検証を要求する場合にはいつでも応じる」と述べた。
中国メディア、完備への非難一色
中国の主要メディアらはTHAAD配置に関するニュースを一日中トップに取り上げ、韓国政府を「口撃」した。中国中央テレビ(CCTV)は、搬入過程を生中継、配置が正式に完了したことを伝え、住民と警察の衝突状況を強調して報じた。
中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は社説を通じて、THAAD追加配備を決めた韓国側を口汚く罵った。「THAADが北朝鮮の核のように、地域の安定を損なう悪性腫瘍だ」「韓国は北朝鮮の人質だけでなく、米国の盾になる」「キムチを食べて頭がおかしくなったのか?」など、露骨な批判を展開した。
このような反応は北朝鮮の6回目の核実験の報道とは対照的だ。当時、中国メディアらは北朝鮮の核実験について批判する報道や論説を一切報じなかった。
更なる経済報復の可能性を示唆する報道もあった。環球時報・英字版グローバル・タイムズ紙は6日、中国北京自動車と韓国現代自動車の合弁企業「北京現代自動車」に言及。中国国内で現代車の輸出が減少したため、中韓合資を解消する可能性について触れた。自動車業界では、「THAAD追加配置をきっかけに、中国当局が圧力を高めた」と解釈されている。
米韓は軍事圧力強化で一致
一部の韓国住民から反発はあるものの、米韓当局は、挑発を続ける北朝鮮に対して、軍事圧力を強めることで一致している。米韓国防相は5日、電話での協議で、米軍の戦略爆撃機と原子力空母を朝鮮半島沖で定期的に展開し、北朝鮮をけん制するとの方針を確認した。
実際、米軍原子力空母ロナルド・レーガンが8日、神奈川県横須賀市の米軍横須賀基地を出港。韓国イ・ナギョン首相は、北朝鮮は9月9日の建国記念日にふたたびICBMを発射する可能性があると述べており、前回の合同演習で、異例といわれた原子力空母カール・ビンソンとの2隻態勢を日本海に敷くことで、強い抑制力を示すことを狙う。
米韓首脳電話会談では、トランプ大統領は、韓国に数十億ドル(数千億円)相当の兵器などの装備品を売却することを認めたと、文大統領に伝えている。
トランプ大統領は7日の記者会見で、「軍事力を使えば北朝鮮にとって悲劇の日となる」と述べ、武力行使を希望しない考えを示したものの、「軍事行動は間違いなく選択肢だ」と述べ、朝鮮半島における危機感の高さを表した。
(翻訳編集・齊潤/佐渡道世)