「原油禁輸」再び争点化、中ロはどう応じるか
北朝鮮の6回目の核実験に対する国連安全保障理事会の制裁で、北朝鮮への原油禁輸を含む追加制裁が議論されている。専門家らは、短期間で北朝鮮政権に打撃を与えることのできる措置として見るいっぽう、中国とロシアは反対に回ると予測されている。
世界貿易機関(WTO)によると北朝鮮は2016年、10カ国で「ガソリン」と「航空燃料」を含む「原油を除く石油とアスファルト油(瀝青油)製品」を約1億1736万米ドル輸入した。主な輸入元は中国で、北朝鮮の全体石油輸入の98%に達する1億1462万米ドルを輸出した。
続いて、ロシアが約174万米ドルで第二の輸出国だ。ロシアは今年、上半期基準で240万米ドルを北朝鮮に輸出し、すでに前年度の規模を上回った。
近年、北朝鮮は国際社会の制裁によって石油供給に支障を受け、ロシアに目を向けていることが知られている。
国際アナリストの北野幸伯氏は、日本メディアへの寄稿記事で「北朝鮮は中露の緩衝国」とし、現体制が必要な存在であると指摘。ロシア側は、もし北朝鮮が崩壊して韓国が朝鮮半島を統一すれば、米国が半島の中露国国境付近に基地を置き、ミサイルを配備するだろうとロシアは考え、これを阻止したいと思うだろうと分析。
米国の圧力により、中国が対北支援を減らすなか、ロシアがこの分を補っているとも指摘している。
もし国連安保理が今回の核実験に対して新たな対北朝鮮制裁決議案に原油禁輸を含むなら、中国とロシアの決定に注目が集まる。
在ワシントン朝鮮半島専門家のラリー・ニクシュ氏は原油輸入が詰まる場合、「2、3週以内に平壌市など北朝鮮内主要都市のガソリンスタンドが廃業に陥る」と述べた。
また、北朝鮮の暖房システムの大部分が石油に依存しているため、冬には高級幹部まで燃料供給が難航になり、電気生産量も今よりさらに悪化、4、5カ月以内で空軍の航空機運用に支障をきたすと分析した。
しかし、このような致命的な禁輸措置に北朝鮮の友好国で、安保理常任理事国である中国とロシアは簡単に応じなかった。安保理が新たな決議案の採択を推進するたびに議論されたが、実際に含まれることはなかった。
北朝鮮39号室高官出身の脱北者・李正浩(リ・ジョンホ)氏はVOAとの電話インタビューを通じて、中国とロシアから輸送されるパイプラインが詰まった場合、北朝鮮政権の命綱が途切れるに違いないと主張した。
(翻訳編集・齊潤)