東トルキスタン大統領が広島で講演、中国による民族弾圧を訴える
海外で活動するウイグル人の組織の一つ、「東トルキスタン亡命政府」の大統領アフメットジャン・ オスマン氏が5日、広島サテライトプラザで公演を行い、中国共産党政府による核実験、民族弾圧の惨状を訴えた。
東トルキスタン亡命政府は2004年9月14日、アメリカのワシントンで在外東トルキスタン人(ウイグル人)活動家によって設立され、「東トルキスタン」(中国名・新疆ウイグル自治区)の独立を目指している。2015年11月、アフメットジャン・ オスマン氏が大統領となった。
講演で同氏は、1964年から1996年の32年間で50回に及ぶ核実験が行われたと述べた。それによってトルキスタンの環境は破壊され、放射能汚染による癌患者(特に肺癌)、流産、奇形児の出産が増加したと指摘した。その他の爆発による犠牲者も入れれば、死者は累計で100万人にのぼるという。
また中国共産党政府が1956年から移民政策による同地区への漢民族入植を推し進めてきた。とくに、出産数を制限する計画出産の強要と計画外の妊娠女性に対する強制堕胎、民族文化の根幹であるウイグル語教育の制限、99%のウイグル人が信仰するイスラム教への弾圧など徹底した民族浄化及び民族文化破壊政策を行ってきた。
ここ2年、中国共産党政府による抑圧はいっそう強まっている。現在、同地区では髭を生やしたりスカーフをしているだけでテロリストとのレッテルを貼られ、学習班で党の教育を受けさせられる。抵抗すると投獄されたり殺害されるなど、弾圧はますますエスカレートしている。
東トルキスタンが位置するエリアは現在の新疆ウイグル自治区に当たる。かつてこの一帯はシルクロードの要衝として栄えていた。近年、海上陸上の経済ラインである一帯一路の陸上部分にとって最重要なエリアだとみなされており、当局もこのエリアの中国化に力を入れてきている。東トルキスタンの地政学的位置が同地のウイグルの人々をさらなる不幸に陥れていると同氏は話す。
新疆では近年、当局の民族政策に反発し、現地住民による暴動が後を絶たない。2014年7月28日に起きた暴動で少なくとも2000人が中国当局によって殺害された、と海外に亡命したウイグル人組織、「世界ウイグル会議」は主張している。
(大道修)