ロープを使わずに、岩壁や人工壁を自由に登る「ボルダリング」。筋力と忍耐力を鍛えると同時に、ストレス解消にも効果があるとして最近人気が高まっている。一方、ボルダリングが抑うつの症状を緩和するという科学的な報告がある。
米アリゾナ大学心理学研究チームは、ドイツのエアランゲン・ニュルンベルク大学と協力し、ドイツの成人100名を対象に調査を行った。科学者らは抑うつの症状がある被験者を二つのグループに分け、一方はすぐにボルダリングを開始し、もう一方は開始までの待機期間を設けた。両グループは8週間にわたり、週3時間ほどボルダリングを実践。科学者らは時折、「ベック抑うつ質問票」(Beck Depression Inventory、BDI)を用いて被験者の症状を観察した。
その結果、すぐにボルダリングを開始したグループはBDIの数値が運動前より6.27ポイント改善。一方、待機組は1.4ポイントしか改善しないという結果となった。これにより、ボルダリングが抑うつ症状の改善に役立つと科学者らは結論づけている。
同研究チームを率いた心理学者エヴァ・マリア・ステルザー氏(Eva-Maria Stelzer)は、「ボルダリングは、いろいろな点でポジティブな身体活動です」と語る。
また、研究者のひとり、カタリナ・ルッテンバーガー氏(Katharina Luttenberger)は、 「クライミングでも何でも、患者には好きなスポーツをするように勧めています。多くの心身の病を遠ざけるのに、スポーツは素晴らしい効果が期待できるからです」と話している。
(翻訳編集・李青)
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