2017年1月、米ラスベガスの技術博で登壇した、中国インターネット動画配信大手の楽視網信息技術(以下、楽視網)の創業者で会長の賈躍亭氏(Ethan Miller/Getty Images)
CEOは米国へ高飛び

資金難の中国動画配信大手・楽視網、従業員の信用格付け「1元」に

中国インターネット動画配信大手の楽視網信息技術(以下、楽視網)が資金繰り悪化しているのを受け、複数の債権者は裁判所に資産の差押えを申請した。その影響で、従業員個人の信用格付けは「1元」(約16円)に下げられた。

28日の中国メディアの報道によると、少なくとも8人の債権者は楽視網の資産凍結を申請している。今月5日、創業者の賈躍亭董事長らが保有する、発行済み株式の26%にあたる5億1900万株を裁判所に差し押さえられた。

中国当局、個人投資家を5段階評価で格付け

「個人投資家を株市場から追い出すため」か

さらに、26日付き中国メディア・中新網によると、ネットユーザー「白雲飛」さんは22日、大手行の中国建設銀行から、個人の信用格付けを7万元(約115万円)から1元(約16円)に下げたとの知らせが届いた。銀行に問い合わせたところ、「楽視網での勤務歴があるため、信用度を下げた」と回答された。

中国証券当局は7月1日から、国内の投資家を5段階で格付けしている。これにより、一部の投資家は特定の株式や債券の取引を制限される。

同従業員はすでに2013年に楽視網を辞職した。同行のクレジットカードを作ったときにも、会社名義ではなく、個人名義で申し込んだという。

ネットでは楽視網の従業員が理由で信用格付けを1元に下げたとの報告が相次いだ。しばらくして、大半の従業員の信用格付けは元の水準に戻った。

   楽視網は近年の拡大路線が失敗し、昨年から資金難が伝えられた。5日、賈氏は妻とともに渡米し、現地で董事長などすべての職の辞任を発表した。現在も米国滞在中で、帰国の予定は明かされていない。

(翻訳編集・王君宜)

関連記事
「投資の神様」と敬われている米国著名投資家のウォーレン・バフェット氏はこのほど、中国株式市場について「カジノのようだ」との認識を示し、投資家に投機活動を控えると助言した。
米格付け大手のムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日、中国の人民元建てと外貨建ての国債格付けを今までの「Aa3」から「A1」に1段階引き下げたと発表した。中国の国債が「非常に低い信用リスク」から「低い信用リスク」へとリスクが拡大したのを示した。
中国証券当局が7月1日から、国内の投資家に対して格付けを実施することが明らかになった。当局は投資家を5段階に評価した後、一部の投資家に対して、特定の株式や債券の取引を制限すると決定した。国内多くのネットユーザーは、当局は同決定で株式市場を支える個人投資家を市場から追い出す狙いがあると批判した。