中国不動産市場 なぜ抑制措置は効果がないのか
中国当局が不動産バブルに対して抑制措置を実施すればするほど、不動産価格が上昇するという現象が今も続いている。
この不思議な現象を英紙「フィナンシャルタイムズ」中国語電子版(23日付)コラムニストの朱寧氏は次のように分析した。
不動産市場の投資家たちはこの十数年間の経験から、中国当局の抑制措置の目的が「不動産価格の緩やかな上昇を図ることで、バブルを潰すことではない」と心得たことが、今この不思議な状況を招いた。
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李克強首相は3月5日に開幕した全人代の「政府工作報告」において、中国不動産および住宅市場に関する政府方針を示した。専門家は今後10年間、不動産市場は依然として中国経済成長の主要けん引役である一方で、住宅の在庫削減も当局の重要な任務と位置付けられていると分析している。
表舞台から久しく遠ざかっていた「任大砲」というあだ名を持つ、北京遠華集団の前総裁、任志強氏がこのほど「不動産価格の7割は政府が奪っている」と発言し、再び「大砲が火を吹いた」。同氏は、中国国内主要都市の地価がここ数年で急騰している原因は、政府の税収方法にあると辛らつに批判している。
中国国家統計局が19日に発表した8月新築住宅価格によると、国内70の大中都市のうち、64の都市の住宅価格が前年比で上昇した。7月の統計では価格上昇が見られたのは51の都市だった。専門家は、在庫削減のために各地の住宅購入制限措置が緩和されたなどが主因で、中国住宅市場が過熱化の強まりにつながったと指摘した。
中国不動産市場のバブルを沈静化したい中国政府は9月末、北京、上海など20の大中都市で住宅購入や住宅ローンの厳しい制限と土地供給拡大の調整政策を次々と実施した。この結果、多くの都市では住宅価格が大幅に下落した。ただ、社会不安を引き起こす価格の急落を防ぐため、中国当局は共産党の党員幹部に対して、不動産の売却を禁じることにした。
現在、中国経済がかかえる最大の課題は、急増したマネーサプライ(通貨供給量)によってもたらされた資産バブルだ。中国では、資産運用手段が非常に少ないため、資産バブルを指す場合は不動産バブルを指す。中国政府は異例の経済会議で、今後も厳しいバブル抑制措置を実施する意向を示した。
中国各省政府がこのほど公表した2017年固定資産投資目標では、総規模が45兆元(約765兆円)以上の見込みになるとみらえる。専門家は、中国当局が、不動産バブルや企業負債急増などを招いた経済刺激策を、再び講じようとすることに強い懸念を示した。
中国不動産市場は2014年以降、各地で住宅ローン制限や頭金比率の引き上げなどの不動産バブル抑制政策が次々と緩和されたため、昨年価格が大幅に上昇した。これを受けて、昨年10~12月において、上海や北京などの20の地方政府は一転して、再び抑制措置の実施に踏み切ったが、まだ大きな下落は起きていない。専門家は、中国当局が長期的に土地を独占することが、不動産バブルの根本的な原因だ。