中朝関係急速に悪化 朝鮮半島に有事の予兆=韓国シンクタンク
北朝鮮の指導者・金正恩朝鮮労働党委員長による異母兄の正男氏暗殺容疑と一連のミサイル実験で、中朝韓の三国関係は錯綜している。韓国シンクタンクは朝鮮半島で有事の予兆が見られると分析する。
緊張度を増す朝鮮半島情勢 4つの予兆
韓国東アジア平和研究所所長・金相淳氏は香港メディアの取材に対し、金正男氏の暗殺は、朝鮮半島での有事勃発の導火線になりえるとし、緊張の度合いを増す朝鮮半島では、2015年以降、すでに戦争の予兆が4つ見られるという。
1.2015年の米韓合同軍事演習は従来の防御重視型から攻撃重視型に変更され、ピンポイント攻撃や北朝鮮要人に対する斬首作戦、上陸作戦および北朝鮮での陸上戦が演習項目に加わった。また、2016年度の軍事演習では在韓米軍の軍属が、日本に避難する演習も行われた。
2.アメリカ軍は2015年から継続的に、軍事行動に必要な弾薬や軍需品を韓国に輸送している。
3.トランプ大統領と側近は強硬派で、北朝鮮に対する「先制攻撃」を支持している。
4.米軍は各種戦略兵器を西太平洋の基地に集結させている。それにはB-2ステルス爆撃機、B-1B「ランサー」戦略爆撃機、B52戦略爆撃機、F22ステルス戦闘機及び最新鋭のF35ステルス戦闘機、原子力潜水艦や原子力空母戦闘群が含まれる。さらに、2万人の米軍部隊が韓国軍との共同軍事演習に参加する。
中国の態度
中国当局は2月19日から、国連の制裁決議を理由に、北朝鮮からの石炭の輸入を停止した。中国への石炭輸出が主な外貨収入だった北朝鮮にとって大きな経済的打撃となったはずだ。翌20日、北朝鮮は中国に対する報復として、レアアースの輸出を停止した。
中朝の貿易戦により、中国と北朝鮮は反目するという予測もある。しかし金相淳氏によれば、中朝関係は簡単に崩壊することはない。中朝関係を決定するのは、北朝鮮の核開発問題の進展と、習近平当局とトランプ政権との関係だと分析する。
(翻訳編集・文亮)