「鞆」町並みひな祭り（広島県福山市）

鞆の浦と言えば、宮崎駿監督のアニメ作品――｢崖の上のポニョ｣で有名になりましたよね。

当地は景観の維持か開発かで議論が繰り返されてきました。車の往来もままならないような狭隘な通りは、地域住民にとっても不便極まりないものがあったそうです。この議論に一石が投じられることになったきっかけは、｢崖の上のポニョ｣の舞台になったことにあります。景観保存への暗黙のプレッシャーが海外からもかけられました。現在は景観保存に傾いているそうです。

本日3月3日はひな祭りですね。福山市鞆の浦では今年も「町並みひな祭り」が開催されています。町屋や商店などには地元の人が協力して雛人形が飾られ、古い町並みを歩きながら歴史ある雛人形を観て楽しむことができます。2月18日（土）～3月20日

鞆の浦は、保命酒「鞆」でも有名です。まず保命酒屋さんのお店に入ると豪華な雛人形が飾られています。明治時代のものだそうです。家電屋さんではヒーター等と一緒に雛人形が飾ってありました。ミスマッチではありますが、伝統の文化が文明の中で大事に保存がされていると感じました。一般の民家でも専用ののれんや旗がかけられている家は、お邪魔して見せて頂くこともできます。約100か所でお雛様が飾られているそうです。お雛様は、港町として栄華を極めた時代に、資金にあかせて買い込んだ高価な品々なのかもしれませんね。

ひな人形を堪能した後、絶対に行ってみたいと思っていた場所を訪れました。国の重要文化財となっている太田家住宅です。太田家は江戸時代より鞆の浦で作られている薬用酒「保命酒」の蔵元の建物で、主屋や酒造蔵など全部で9棟もあり、その中には数々の古い時代の雛人形が飾られていていました。一つ一つお雛様は表情が違い、その中には猫に着物を着せたお雛様もありました。天井からは色鮮やかな手作りのつるし飾りが飾られ、雛人形と調和が取れてとても良い雰囲気をかもし出していました。幼い頃、私のために母や祖母が飾ってくれたお雛様を思い出せた優しいひと時でした。

太田家を出て海辺を少し歩くと常夜灯が見えてきます。この常夜灯の近くにあの坂本龍馬が立ち寄った場所もあり、江戸時代から明治にかけてのんびりと時の流れを満喫できます。

（文・まさ恵）