2016年12月22日、北京の紫禁城を背景に立つ女性。最新の研究では、北京のスモッグには、抗生物質への耐性を持つバクテリアが含まれているという(WANG ZHAO/AFP/Getty Images)
大気汚染

北京スモッグ、不潔・耐性抗生物質の遺伝子 世界で最多=研究

北京の悪名高いスモッグは、人間の健康を害すると広く認識されている。2013年前半には、北京の大気汚染に起因する呼吸器疾患により、1日約7000人の子供たちを入院させるほどだと形容された。その「スモッグ脅威論」に拍車をかける研究が、このたび発表された。それによると、北京のスモッグには抗生物質耐性を持つ遺伝子が、他の環境より最も多いという。さらに体内に取り込まれて「将来は病原体となる」可能性も指摘された。

スウェーデンのイエテボリ大学の科学者は、世界中で人間、動物と外部環境からとられる864のDNAサンプルを採取。このなかで、北京スモッグが抗生物質耐性遺伝子(ARGs)の最も多いという。

ARGsは一般的に、廃水・ヘドロ、製薬汚染、鉱山、動物の排泄物など不衛生なものに多く含まれる。研究者ヨアキム・ラーション氏によると、北京スモッグには、難病への最終手段として感染症対策に用いられる抗生物質「カルバペネム」への抵抗性遺伝子がみられたという。

▶ 続きを読む
関連記事
北京市環境保護局によると、このところ晴れの日が続き、粒子状汚染物質を含むスモッグ霧、所謂「霧霾(ウーマイ)」が減少している。だがその代わり、目には見えない汚染物質、オゾンが広がりを見せており、PM2.5に代わって北京を始めとする中国の大都市の主な汚染物質となっている。
 天気予報とおなじく、中国では、大気の汚染状況に人々は高い関心を寄せている。これを商機と見たニュージーランドの会社は、新鮮な空気を詰めた酸素缶を1缶24.99ドルNZD(約2000円)でネット販売したところ、人気を集めた。
中国北部の空は連日、濃い灰色のスモッグが垂れ込めている。北京、天津や周辺都市では空気の重度汚染警報が出され続けている。国内報道によると、近冬はこの十年でもっとも深刻な大気汚染になるのではないかと予想されている。
 中国北京市と天津市と河北省など7の省の60以上の都市でこのほど、広範囲で深刻な大気汚染が発生し、濃いスモッグに覆われた。各行政は応急的に、工場の運行停止や大型車両の通行禁止措置などをとった。