中国政治改革
「核心」習近平の政治戦略 「一石多鳥」の機関設立 その狙いは(2)
倫氏は、習主席が手中に収めている権力は、中国共産党の専制政治に立脚したものであるため、現時点では、習主席は現体制下で許されていることしかできないと説明している。党の政策方針は、憲法よりも上位にあるためである。また共産党の一党独裁政権においては、全てのメディアは党の代弁者にすぎないので、第四権などというものはそもそも存在しない。
今回、習主席が政治改革を実施するにあたり監察権を成立させ、「習近平を核心とする党中央」という旗印のもとに、四権分立の骨子を作ろうとしているのは、将来的に共産党中央政治局常委という政治管理制度を廃止し、共産党を捨て去り、党機関を解体したとしても、できる限りスムーズに立憲政治へと移行できるよう、現行体制に代わるしかるべき国のシステムを構築、準備することを目的としており、大統領制への移行をも視野に入れていると考えられる。
一般的に、中国現行の管理構造は、1.共産党委員会(トップは党委書記)、2.政府(トップは総理)、3.人民代表大会(トップは人民代表大会委員長)、4.中国人民政治協商会議(トップは政協主席、共産党と各党派の統一戦線組織)の4つの系統からなるとみなされている。
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