中国メディアによると、江蘇省常熟市のアパレル加工工場には、雲南省出身の16歳未満の児童労働者が多くみられる。2008年、北京に到着した出稼ぎ労働者の子ども。参考写真(Guang Niu/Getty Images)
子供の暮らし

中国「アパレルの町」で児童労働が横行=中国メディア

中国紙「春城晩報」は21日、1000社以上のアパレルメーカーが集中する中国江蘇省常熟市での、16歳未満の子供たちの児童労働について報じた。それによると、子供たちはノルマ達成しなければ深夜残業し、作業が遅ければオーナーらに暴力を振るわれるなど、過酷な労働環境にあるという。

「仲介者」が集める児童労働者 安いのは雲南省

アパレル工場で働く南部・雲南省出身の16歳未満の子供たち。1カ月の勤務日は少なくても28日で、毎日7時半から夜10時まで、縫製作業を続けている。

現地の下請け企業の多くは一部の世界的有名ブランドの仕事も請け負う。衣類の加工件数が多ければ多いほど企業の収益が増えるため、大量の労働者を必要としている。

このため、企業は労働者を募ってくる「仲介者」と手を組んでいるという。仲介者は、常熟での労働条件が良いなどと騙して、各地から労働者を集めてくる。一人の労働者につき、アパレル工場のオーナーから約2000元(約3万2000円)の仲介手数料を取る。また労働者と工場の間では法的な労働契約を結ぶことは一切ないという。

「騙しやすい」、地域の格差による「人件費が安い」との理由で、常熟には雲南省出身労働者が多い。ある工場のオーナーが「春城晩報」の取材に対して、江蘇省出身の労働者が毎月の賃金が3000元(約4万8000円)ぐらいだが、雲南省出身の労働者であれば1000元(約1万6000円)余りでいいと証言した。

報道では、昨年だけで、常熟に来た雲南省からの労働者が6000人以上で、そのうちの一部は16歳未満の児童だという。また地元アパレル業界に詳しい情報筋によると、約20人の従業員がいる工場では、そのうちの5、6人が10代前半の子供だという。

不当な給料不払い 夜逃げを防ぐため 身分証の取り上げ

 
中国アパレルの街での児童労働問題が注目されている(ネット写真)

雲南省文山地区出身で15歳のある子供が取材に対して、「工場に来たばかりの時、一日の仕事量について説明はなかった。それから、1日のノルマを350件、500件、720件と増やされていった」「まだオーナーがノルマを増やしたいって」と話した。

オーナーらは年末になってから、子供たちにその1年分の給料を一括で渡す。しかし、子供が年末前に逃げ出した場合、オーナーらはその1年分の給料を渡すところが、逆に「作業ができなかった」「収益が減った」と損害賠償を請求するという。子供だけでなく、不満を持つ他の労働者が逃げ出すのを防ぐため、事前に労働者らの身分証明書や銀行キャッシュカードや携帯などを差し押さえる。

報道では、2012年以降、常熟市当局が約107件の児童労働関連案件を調査し処分した。この107件の案件では、合計211人の児童が労働力として雇用されたという。しかし、これは氷山の一角に過ぎない。

国内報道では、中国の労働集約型企業が多く集まる広東省、福建省と江蘇省などで児童労働問題が多くみられる。韓国サムスン電子の中国広東省と四川省の下請け加工工場や、米アップル社の中国での部品供給メーカーで16歳未満の児童が働いていると報じられたことがある。

中国当局は現在児童労働問題を取り締まっているが、しかし権益を侵害された子供たちのその後の進路や、生活改善に関して何の解決措置を採っていないのが現状だ。この背景には当局の戸籍などの政策で、都市部と農村部、富裕層と貧困層の間に広がりすぎた格差にある。出身地の貧しさゆえに、再び工場にもどる子供が多いという。 

中国紙「南方都市報」の2014年1月の報道では、深セン市当局が10代前半の約139人が労働していることで、同市のある電子機器生産工場を処分し、139人のうちの41人(12歳から13歳)の子供を出身地である四川省涼山の家に帰らせたが、しかし、その後の取材で、ある子供が「家に帰りたくない」「工場ではお米と肉を食べられるが、家ではトウモロコシとジャガイモしかない」と話した。

(翻訳編集・張哲)

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