米国防総省の対中ロ戦略 ロボット兵器の開発に着手
米国防総省は現在、「ロシアと中国を阻むため」とするロボット兵器を開発中だ。まるでSF映画のようだが、同省の上層部はこうしたハイテク兵器を、急速に軍事力を増している中ロ両国を抑制するための最良の手段と位置付けるなど、この新兵器について公で発言するようになっている。米紙ワシントンポストが報じた。
報道によると、2月中旬、ロバート・ウォーク米国防次官とポール・セルバ空軍大将は同紙の取材に応じた際、数カ月前までは米軍の最高軍事機密だったこれらハイテク兵器のことに言及した。ウォーク国防次官は、これらの兵器は米軍の戦闘力を増強するための戦略の一つであり、未来の戦争で普及する可能性があると示唆した。
米国防総省の進めているハイテク兵器の開発プロジェクトは「第三の相殺(オフセット)戦略」と呼ばれている。第一の相殺戦略とは、1950年代のソ連の通常兵器の量的優位性を核兵器による大量報復能力で相殺する戦略であり、第二の相殺戦略とは70~80年代、ステルス技術やネットワーク技術、精密誘導兵器技術で核兵器を大量配備するようになったソ連の優位性を相殺するという戦略。いずれも米ソ冷戦時代に米国がソ連の軍事力をけん制するための切り札となった。
このほどハイテク兵器に関する情報を小出しにしている米軍。ロシアと中国に対するメッセージとみられている。
ウォーク国防次官は、ロシアを「よみがえった大国」、中国を「台頭する大国」と表現したとともに、特に中国の潜在的な科学技術力は脅威的であり、米国に対してさらに戦略的な挑戦を仕掛けてくる可能性があると発言した。またジョゼフ・F・ダンフォード米統合参謀本部議長(海兵隊大将)は昨年7月、現在のアメリカにとっての最大の脅威はロシアであると警告した。
2月2日に2016年度米予算教書が公表された際、アシュトン・カーター国防長官はシリアへの軍事介入を続けるロシアに懸念を示すとともに、過去25年間にわたり米国はロシアに対し何の危機感も抱いてこなかったが、同国はもはや再び米国の「悩みのタネ」となっていると述べた。
カーター国防長官はその際、米国防総省がマイクロカメラやセンサーを導入する人工知能搭載兵器の誘導装置や、超高速発射のミサイル防衛システム、超高速無人機などの新兵器を開発していると明らかにした。
また、ウォーク国防次官はワシントンポストの取材で30センチ弱の小型ドローン「Perdix」を提示し、昨年夏にこのドローンを含む同型機合計26機を大型機から実際に飛ばして編隊飛行に成功したと説明し、こうしたドローン編隊は米国防総省の想定する未来の戦闘の一角だと述べた。
報道によると、米国防総省の17年度予算案にはハイテク兵器開発の予算が計上されており、そのうち30億ドル(約3388億円)がロボット部隊とドローン編隊に、17億ドル(約1920億円)が人工知能ネットワークと電子システムに割り当てられているという。
(翻訳編集・桜井信一、叶子)