2016年1月、ロンドンで (撮影:大紀元 Simon Gross)
医療倫理に反する行動

【本音を生きる】元外科医 エンヴァー・トフティ・ブグダさん(中)

この記事は、【本音を生きる】 元外科医 エンヴァー・トフティ・ブグダさん (上)の続きです。

 

—英国に移民され、心境の変化はありましたか。

これまで共産党政権下の教育を受けていましたが、西洋社会で目も心も開き、物を見る視点が完全に変わりました。そして自分の罪を認識し愕然としました。

—どのような罪を犯してしまったのですか?

1995年夏に上司の命令で一度だけ、生きた処刑者から臓器を摘出させられました。処刑場で待機し、銃声が鳴ったら中に入れと言われました。看護婦は逃げ出そうとし、私も手が震えました。でもその場では拒否する余地はありませんでした。言われた通りにする、そのような状況でした。

ロンドンに移住し、罪悪感が募りました。処刑者の名前も人種も宗教も分かりません。以来、モスク、寺院、教会などで機会があるごとに彼の冥福を祈っています。

—罪を告白する機会はありましたか?

はい。ずっとこの問題を追いかけてきたジャーナリスト、イーサン・ガットマン氏の報告会がロンドンの国会議事堂内で2010年にあり、その場で初めて、自分は医療倫理に反する行為をしたと告白しました。一人で重苦しく抱えていたものをその時、初めて外に出すことができました。その後、欧州議会、スコットランド議会など機会があるたびに証言者になっています。ガットマン氏は多くの迫害犠牲者から聞き込み調査し、実際に中国で起こっていることを『Slaughter(屠殺)』という著書にまとめ、2014年に出版しました。臓器狩りを行った証言者として第1章に私の体験が紹介されています。

—最近はドキュメンタリー映画にも出演されていますね。

2015年の11月に米国でリリースされた『知られざる事実』(Hard to Believe)という映画でインタビューを受け、証言しています。これらの証言を通して、世界の人々の良知が目覚めることを願っています。

—日本でもお話しされる機会がありましたか。

2015年の秋に広島のシンポジウムに参加した時期、ちょうど真善忍国際美術展が開催されていましたので、訪問させていただき、自分の体験を語る機会に恵まれました。

(注:「アニワル・トフティ」という表記が日本では定着しているが、英語名およびウイグル語のもとの発音に近い「エンヴァー」をこのシリーズでは採用した)

つづく 【本音を生きる】 元外科医 エンヴァー・トフティ・ブグダさん (下)

(文・鶴田ゆかり)

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波瀾万丈とは彼のために作られた形容詞 だろうか。中国の核実験を世界に訴え、ウイグルの独立を思い、中国で外科医をしていた時に、意に反して臓器狩りをしたことを懺悔する 。ウイグルと日本の文化的な共通点を見いだし、ぞっこんの日本びいきでもある。トフティさんの「本音」人生を語ってもらった。
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