生命の極限に挑戦する無脳児

無脳児(むのうじ)とは、生まれつき大脳半球が欠損していて全く無い、もしくは小塊に縮小している胎児や乳幼児のこと。このような子どもは通常、出生後まもなく亡くなってしまうが、僅かながら医学の常識を破った子どももいる。アメリカで生まれたジャクソン・ビューエル(Jaxon Buell)ちゃんはその一例である。アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー(ABC)が、9月30日に報道した。

米国フロリダ州に住むジャクソンちゃんは、胎児の段階で死亡する可能性が高いと診断された無脳児。たとえ生きて生まれたとしても長くは生きられず、視覚、聴覚、言語、運動の能力は無いと診断されていた。しかし、無事に生まれて現在13カ月になったジャクソンちゃんは、「パパ」「ママ」と言葉を発するまでに成長した。寝返りを打ち、這い回ることもできる。澄み透った綺麗な両目は非常に可愛く、人に向かうとよく笑う。

大脳は運動、感覚の中枢である。大脳の大部分が存在しないジャクソンちゃんが運動をし、感覚もあるというこの事実は、現代医学の常識では理解しがたい。ジャクソンちゃんを診察する医師は、ジャクソンちゃんの寿命や能力については言及しなくなり、尋ねられるとただ「分かりませんね」と言うだけになった。

統計では、アメリカでは4859人に1人の確率で、無脳や奇形脳の子どもが生まれており、そのほとんどが生後まもなく死に至る。しかし、ジャクソンちゃんのような例が全くないわけではない。イギリスのデイリー・メール2012年11月の報道では、米国コロラド州に3年間生存したニコラスくんという名前の無脳児がいた。この子は言語活動や運動、飲食などはできなかったが、生命補助措置を施さない状態で3年間生存した。医者に言われていた「数時間しか生きられない」という常識を打ち破り、奇跡を作った一例である。

(翻訳編集・勝田)

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