【私の一枚】陰翳礼讃

明治19年生まれの小説家・谷崎潤一郎に『陰翳礼讃』という随筆があります。

西洋化する社会に対して、電灯が無かった時代における美の感覚を論じています。日本では陰翳の中でこそ映える芸術を作り上げ、それこそが日本古来の芸術だと主張しており、能や歌舞伎の衣装・化粧・食べ物・食器・照明など多岐にわたり陰翳の素晴らしさを論じた作品です。

この写真は天草・松合町にある資料館の2階。真っ暗な部屋にあるのは薄暗い照明だけでした。窓から見る外の明るさがとても印象的で、谷崎の『陰翳礼讃』を思い出しました。衛星写真で見る現在の日本の夜は、列島の形がはっきりと分かるほどの明るさです。もし、日本が今でも陰翳を楽しむ社会なら原発も必要ないのに、と思うのですが・・・。ただし、谷崎潤一郎自身は洋風建築の照明の明るい家で生活していたそうです。どうも理想と現実は違うようで。

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