薬用植物 センニンソウ

センニンソウ(仙人草)はキンポウゲ科センニンソウ属の多年草で、根を乾燥させたものは威霊仙(いれいせん)という生薬として用いられます。アネモニン、有機酸が含まれ、生の状態では毒性が強いため、生葉の汁が皮膚に付くと炎症したり、水泡が生じたりするので注意が必要です。

威霊仙には祛風湿(風邪の湿邪によって起こる体の痛みを緩和させる)作用、通経絡作用があり、リウマチや痛風による関節痛、手足の痺れに用いられます。また、明代に纏められた『万病回春』を原典とする処方に二朮湯(にじゅつとう)がありますが、これは威霊仙をサトイモ科の半夏や天南星、キク科の白朮、蒼朮などと組み合わせる処方で、上腕や肩関節の痛みを和らげる効果があり、肩関節周囲炎(五十肩)に用いられます。同じく『万病回春』に出てくる疎経活血湯(そけいかっけつとう)という処方では、祛風湿、通経絡の作用があるセリ科の当帰、羗活、白芷、防風及び瘀血(おけつ)を取る桃仁、赤芍薬などと威霊仙を組み合わせて、坐骨神経痛、打撲痛、痺れなどを改善する目的で用いられます。

(吉本 悟)

関連記事
寒い季節こそ、ゆったり過ごし心身を整えるチャンス。睡眠や食事、メンタルケアで冬を快適に楽しむ方法をご紹介します。
50年以上前から次世代の食料として研究されてきたオキアミ(プランクトン)。クジラなどの海洋性生物にとっては生存のための原初的な存在だ。そのオキアミからとれるオメガ3が注目されている。本文にあるようにオメガ3は人の健康にとっても有益なものだ。クリルオイルは、オメガ3と抗酸化成分が豊富で人気のある健康補助食品。フィッシュオイルに比べてコストが高い点が難点だが……
仏に対抗しようとした調達が、暗殺未遂や陰謀を重ねた末、地獄に堕ちるまでの報いの物語。
「犬に散歩される」気の毒な飼い主たち、笑っちゃってゴメンの面白動画→
過度な運動や減量で陥りやすい「低エネルギー可用性」。エネルギー不足が体に与える影響とその対策について、専門家のアドバイスを交え解説します。