【道家故事】 商道

ある書生は度々科挙の試験を試みたが失敗に終わった。薄情な世間が嫌になり、書生は官職を諦め、俗世の名誉と利益を捨てて修行の旅に出た。

 人づてに聞いた山の洞窟に行き、道士に弟子入りしたいと申し出た。道士は書生をじろりと見ると、ひそかに喜び、彼に聞いた。「何を学びたいのだ?私は石を金に変える術、空を飛ぶ法、他の空間に入る道もある」。書生は迷うことなく真剣に答えた。「私はただ道を修めたいだけです」。そこで、道士は毎日彼に道を説き、彼は座禅を組み、禅定に入って修煉を重ねた。

 数年が経った。道士は書生を呼び、彼に言った。「私は壮大な天宮を建てたいが資金が足りない。君は昼に山を下り、繁華街に行って頬紅を売り、夜に座禅の修煉をしなさい」。書生は、弟子として師の言いつけに従うしかない。書生は師に聞いた。「私は頬紅を買うお金がないのですが、どこから手に入れたらよいでしょうか?」道士はひと山の石を指さすと、石は一瞬で数箱の上等な「頬紅」に変わった。師は石を金に変えることができるのに、なぜ自分は俗世に下りて、苦労して金を稼がねばならないのか、と書生は不思議に思った。しかし、いくら疑問があっても、道を修める者は師の指示に従うしかない。

▶ 続きを読む
関連記事
古代中国の周代で行われた冠礼は、成人を年齢ではなく徳と責任の成熟で認める儀礼だった。日本の元服にも継承された「成人という身分」の原点を探る。
同じ家族でも異なる自閉症の姿――鍵は2つの遺伝的要因にあった。最新研究が示す遺伝の仕組みと、重度自閉症に希望をもたらす治療の可能性を丁寧に解説する注目記事。
いま、「成人」という言葉は、主に「年齢」を表すものとして使われています。「何歳からが大人か」という数字の話はよ […]
睡眠は「良い・悪い」だけでは測れない。研究が明かす5つの睡眠パターンと脳への影響を解説。自分の眠りの癖を知り、心と体を整えるヒントが見えてくる注目記事。
もう2026年?もう1週間たったのに、年が始まった気がしない。同じ感覚の人、きっと多い。無理に切り替えなくていい。焦らなくていい年明けの話。