口達者よりも温厚
孔子曰く、「巧言令色鮮し仁(こうげんれいしょくすくなしじん)」。言葉巧みで愛想を振りまく者には誠実な人間が少なく、人として最も大事な「仁」という徳の心に欠けていることをいう。人の内心にある虚実は必ずその人の行動に表れる。巧妙に装うより、ありのままの自分をさらけ出したほうがよい時もある。口達者で自分を装うことを得意とする人がこの道理を知った時、きっと自分の行動に恥じらいを感じるだろう。
ある日、漢文帝が上林苑(長安の西方にあった大庭園)で動物を見ていた時である。彼は檻の外から虎を見ながら、同行している上林尉(官職名)に動物の数などを含め、いくつかの質問をした。しかし、上林尉はすぐに答えることが出来なかった。この時、傍にいた嗇夫(雑役夫)が前に出て、上林尉の変わりにすらすらと答えた。漢文帝は嗇夫の巧みな口弁に感心し、同行している大臣・張釈之に嗇夫を上林令に抜擢し、上林尉の変わりに上林苑を管理させるよう命じた。
しかし、張釈之は漢文帝に言った。「上林尉たちは朝廷で重任に就いており、人望もあります。しかし、二人とも口が達者ではありません。もし、嗇夫の口が達者であるというだけで特別扱いするのなら、国民は次々とこれを真似するでしょう。すると誰もが口先だけで物事を行うようになり、社会の風紀が乱れてしまいます。どうか、お考え直しください」
関連記事
北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の研究チームは、ニホンアマガエルなどの両生類や爬虫類の腸内に存在する細菌に、強力ながん抑制作用があることを突き止めた
古代中国の周代で行われた冠礼は、成人を年齢ではなく徳と責任の成熟で認める儀礼だった。日本の元服にも継承された「成人という身分」の原点を探る。
同じ家族でも異なる自閉症の姿――鍵は2つの遺伝的要因にあった。最新研究が示す遺伝の仕組みと、重度自閉症に希望をもたらす治療の可能性を丁寧に解説する注目記事。
いま、「成人」という言葉は、主に「年齢」を表すものとして使われています。「何歳からが大人か」という数字の話はよ […]
睡眠は「良い・悪い」だけでは測れない。研究が明かす5つの睡眠パターンと脳への影響を解説。自分の眠りの癖を知り、心と体を整えるヒントが見えてくる注目記事。