【大紀元日本8月31日】カウンセラーなどから受ける一般的な「禁煙セラピー」が喫煙者の脳の一部を刺激し、喫煙の欲求を軽減できると米エール大学の研究チームが2日、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した。
研究によると、喫煙者が喫煙による長期的な影響を考えると、認知制御(cognitive control)、および理性的思考と関係がある脳の前頭前皮質(prefrontal cortex)が活発になる一方、薬物・麻薬への依存や報酬探求行動(reward-seeking behavior)に関係する線条体(striatum)の活動が弱まることが分かった。
エール大学医学部の精神病学助教授ヘディ・コバー(Hedy Kober)氏は、「喫煙者がアドバイスを受ければ、確かに喫煙への欲求をコントロールすることができる」と話す。タバコへの依存は喫煙者個人の健康を害するほか、社会的にも経済的にも大きな負担となる。米国の喫煙による死亡者数は毎年40万人で、薬物中毒やアルコール中毒者の死亡人数を上回るという。
一部の専門家によれば、薬物中毒者は前頭前皮質が欠損している恐れがあるが、タバコ依存者の場合は同部分へのダメージがみられないという。そのため、禁煙セラピーを始めとする「認知行動療法」(※)を受けることにより、前頭前皮質が活発になり、喫煙への欲求が軽減するとコバー氏は説明する。
コバー氏らは、この研究結果を他の薬物常用者にも応用することを検討している。
※認知行動療法―患者の行動的、情緒的、認知的な問題に焦点を当て、健全な方へ導く精神療法のひとつ。考え方や行動のクセを改め、不適応な反応を軽減する。
(翻訳編集・豊山)
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