数ヶ月で倍増 中国地方政府の債務、133兆円に=UBS証券

【大紀元日本6月10日】中国の地方債務がわずか数ヶ月で4万億元(54兆円)から7万億元(93兆円)まで激増、中国経済紙「中華工商時報」が6月2日に報道した。一方、UBS証券の首席中国経済アナリスト・汪涛氏の見込みによると、中国の地方債務はすでに10万億元(133兆円)に達しているという。

7万億元であれ、10万億元であれ、過去1年間中国経済を押し上げた大量の地方融資はすでに中国金融界を含め、中国経済に大きなダメージをもたらす禍根となっている。

その禍根の源は2008年の金融危機後に中国政府が打ち出した4万億元の経済刺激対策であるようだ。中華工商時報のインタビューに、重慶大学工商管理学院副院長の蒲勇健氏は「中央政府は当初2年以内に1万1800億元の資金を提供すると承諾し、残りは地方政府が自ら調達すると定めた。過去1年間、国有企業の賛助を得られず、プロジェクトの開始を急いでいる地方政府は銀行に莫大な融資をした。これが不良債権を大いに増した」と指摘した。

2009年に銀行が地方政府に融資した金額の中、鉄道、国道とほかのパブリックインフラが占める割合は6~7割となっている。

経済刺激政策の後遺症

「地方債務問題は経済刺激政策の後遺症である」と蒲勇健氏は指摘する。

同氏によると、地方政府はこれまで、土地売買で債務の償還を行っていたが、過去2ヶ月で一連の不動産引き締め政策が出されてから土地売買で融資償還ができなくなった。地方政府は銀行融資に頼るしかなく、これで債務は雪だるま式に急増し、担保や抵当のない莫大な銀行資金は地方に流れ、不良債権の急増を来たしてしまう。

「もし不良債権が今のスピードで増加し続けるならば90年代の中国銀行の不良債権のうねりが再び中国金融界に登場するかもしれない。これは中国経済発展に予想できないダメージを与えることに違いない」と同氏は指摘する。

一部の専門家の指摘によると、金融危機の前に、1994年の税制改革でかなりの後進地域は大幅な財政赤字に陥り、中央財政の補助金でかろうじて食っている。2008年の金融危機発生後、中国政府が8%の成長率を保つ目標を定めてから、これらの地域は銀行から大量の資金を吸収してインフラ整備に用いた。これは、最近ヨーロッパで発生しているギリシャ財政危機の原因と同じ状況にあると指摘した。

5月、中国主要経済紙「第一財経日報」のベテランコメンテーター楊小剛氏は国内紙で、「地方政府の巨額債務は、蘇ろうとする中国経済の足かせとなる」と題する評論で、「中国政府は巨額の貸付けを通して経済を刺激しているが、GDP比の労働者報酬は年々下がっている。中国はギリシャ同様、巨額の政府債務を抱えているうえ、国民の収入と福利厚生は上がっていない」と分析、「このような財務危機が一旦爆発したら、その危険性と深刻さはギリシャ以上であろう」と警告を出している。

重慶市、負債率400%

「中国経済週刊」の報道によると、一部の地方政府資金調達プラットホームの負債率は、すでに100%を超えており、重慶市を含め、一部の地方政府資金調達プラットホームは400%に達しているという。

ゴールドマン・サックスは、中国地方政府の財政収入の増長ペースは債務の増加ペースに及ばないことから、今後地方政府の負債急増リスクが非常に高く、90年代末に地方政府の債務増加で中国の各銀行の資産の質を悪化させた結果、不良債権が急増した最悪のケースが再び起きる恐れがある、との懸念を示した。

地方政府の負債急増問題に関して、銀監会は「2010年第2四半期経済金融情勢分析報告会」において、地方政府資金調達プラットホームの融資問題を今年銀行業が直面する3大リスクのトップリスクと見なしていることを表明した。銀監会はすでに、国内の商業銀行に対して、6月末までに融資を受ける先の資金償還能力及び抵当状況を改めて審査するよう命じたという。

(翻訳編集・張Y)
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