外資系企業に労組の設置を 中華全国総工会が通達 労働者自主の労使関係に警戒

【大紀元日本6月7日】中共中央政府直轄の労働組合中華全国総工会」が4日、傘下にあるすべてのレベルの労働組合に対し、外資系や台湾・香港資本などの非国営企業内で労働組合を設立、出稼ぎ労働者も組合への参加など促進するよう通達した。新華社通信が報じている。

また、労働者、特に第一線の労働者の賃上げも取り上げた。

5月一か月のみで、中国各地で外国資本を含めて13都市で従業員が賃上げや労働条件の改善など要求してストライキが発生している。最近発生した、ホンダ自動車中国現地工場での賃上げストライキや、世界最大の電子部品メーカー「富士康」(フォックスコン)での従業員連続自殺事件は、中国民衆に、低給与と低い人権意識である国内の輸出経済の成長モデルについて反省するきっかけを与えた。所得分配における出稼ぎ労働者の弱い立場と不平等な社会的地位も大衆の関心を引き起こした。

中国各地でのストライキの連続発生を背景に、30の省・区が法定最低賃金を引き上げる動きを示している。

通達はまた、「各レベルの労働組合は党の主導のもとで運営」「従業員への思想・政治工作を強化」など、共産党の指導介入を強調している。

5月から始めた外資系企業での一連のストライキ風潮で、労働者が政府系労働組合を頼れず、自らからストライキや企業側との協商を動き始め、新たな労使関係が形成される状況。「中華全国総工会」は、政府系労働組合の弱体化を避けるため、今回の通達を出したと専門家は分析する。 

中国の現体制において、すべての労働組合は政府筋の「中華全国総工会」への加入が義務付けられており、党・政治の機構に属して、その運営は行政的で、経営者側寄りの傾向にある。また、労働組合の幹部は、中国政府により派遣されている。

このような状況下では、労働組合は働く人の権益を十分に代弁できないと労使関係の専門家は指摘している。

最近、多発する労働者による自発的なストライキでは、労働者が政府系労働組合に満足していない問題点が窺えた。5月下旬、広東省の佛山で起きたホンダ部品工場でのストライキの中、ストライキの従業員に暴力を振った政府系労組メンバーの行為に反発、ストライキを長引かせた原因の一つ。従業員らは更に、ストライキ停止の条件として、政府系労組の解散と自ら選出したメンバーで労組を再編する要求を出している。

これらのストライキでは、労働組合のバックアップがないまま、労働者が自ら交渉した賃上げ訴求が受け入れられた。政府系労働組合から独立した労働者の影響力が高まる新情勢が見られ、現存の労働組合の管理体制に真っ向から挑戦している。

中国労働関係学院の馮同慶・教授は、労働組合の幹部は労働者が選出すべきと指摘する。労働組合の重要な任務は「働く人の主体性を代表し、彼らの訴求を代言すること。さもなければ、行政が労働者と労働組合をコントロールする道具に化するだけ」と述べている。

(大紀元日本語報道チーム)

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