臓器狩りで初の医師の逮捕、当局は報道禁止=中国

【大紀元日本9月23日】中国の「財経」経済専門誌は8月31日、「臓器はどこから」という報道で、西南部の貴州省で起きた臓器狩り事件を伝えた。35歳のホームレス1人が殺害され、すべての臓器が取られて、遺体がダムに遺棄された。この事件に関与した広州市中山大学第三附属病院肝臓移植センターの3人の医師が逮捕されたという。

報道後、「財経」誌は当局に取り調べの処罰を受けており、関連の報道を一切禁じると中共中央宣伝部が国内メディアに伝えた。この事件に関するインターネット上の書き込みも随時削除されている。

医師たちは30万元で臓器を買い取り

同事件を最初に伝えたのは、中国国内の「臓器移植ネット」。その7月22日の報道によると、広州市の中山大学第三附属病院の3人の医師が6月15日貴州省に入り、臓器の闇取引を行なう現地の売人と接触し、ある死者のすべての臓器を買い取った。後に、警察が捜査した結果、死者は現地の35歳の男性ホームレスであることが判明した。

報道によれば、3人の医師はこの売人に30万元(約400万円)を支払った。同病院の主要幹部は現在、事情聴取を受けている。3人の医師は殺人関与の容疑で逮捕されたという。

「財経」誌はその後現地に入り、この事件について深くスクープした。「財経」誌の報道によると、同事件は8月末開催された臓器移植用のドナー制度推進の会議で、公開された。中国衛生部の黄潔夫・副部長は、記者会見で同事件の存在を否認せず、「記者が捏造したことではないと思う」と話した。更に、「財経」の取材で、臓器移植に「不法現象」の存在を認め、臓器移植管理の強化を強調した。

当局は事件に関する報道を厳しく規制

雑誌「財経」が事件を報道した直後、中共中央宣伝部は国内メディアに、この事件に関する一切の報道を禁じると伝えた。この事件に関するインターネット上の書き込みも随時削除されている。

弊紙記者は広州市中山大学第三附属病院の関係部門と、関係する個人に電話取材を申し込んだが、すべて断られた。

中央宣伝部の内部事情に詳しい情報筋は、大紀元記者にこのように話した:「臓器狩りに関する報道は間違いなく禁じられる。これは法輪功の問題に関わっているからだ。今、すでに国際社会に広く知られているが、中共当局は法輪功学習者の臓器を狩って売買している。このような報道は、法輪功学習者の臓器狩りの問題を連想させることになり、海外のメディアも関連報道を行なうことになりかねない。だから、中央宣伝部はこの報道に対して、とても怒っており、すぐに禁令を出した」と話した。

北京在住のベテラン記者、自由派メディア人高瑜氏は、中央宣伝部の禁止令について、臓器狩り話題自体はタブーであるほか、政権60周年のためにメディア統制の強化でもあると分析した。

膨大な臓器移植の数、臓器の提供源に説明つかず

今年8月末に開かれた中国臓器移植専門家会議では、中国において、これまでの腎臓、肝臓などの臓器移植の総数は10万551件に達していると公表された。一方、中国国内において2003年から今年5月までの6年間で、本人の遺志で臓器を提供したドナーは、わずか130人に留まっていることも公表されている。臓器提供源について、衛生部の黄潔夫・副部長は、65%は死刑囚からの提供であると説明しているが、中国当局の公表によれば、2000年から2005年までに処刑されたのは9696人である。これらの囚人の臓器が全部移植用に提供されたとしても、実際に患者に適合し移植できるのは200から1000例しかないはずだと言われている。

10万例以上の移植の提供源はどこからなのか。カナダの国際人権弁護士デービッド・マタス氏とカナダ外務省前アジア太平洋州局長デービッド・キルガー氏は2006年に行なった独立調査で、中国では臓器売買のために、法輪功学習者に対する「臓器狩り」が行なわれていることを明らかにした。公表された調査報告書によると、法輪功学習者への弾圧が始まった1999年以降、中国では臓器移植件数が急激に伸び、2001年から2005年までの臓器移植件数のうち、4万1500件の臓器の出所は不明としている。同報告書は、33項目の証拠を挙げて、法輪功学習者が臓器売買の犠牲者になっていると指摘している。

(記者・李真、翻訳編集・叶子)
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