中国共産党機関紙「人民日報」記者、国外で亡命
【大紀元日本8月27日】中国共産党機関紙「人民日報」傘下の雑誌「人民論壇」の記者・邱明偉氏が先月末、香港に渡り、外国政府に政治亡命の申請をしていることが判明した。23日、同氏は香港で記者会見を開き、亡命のいきさつを説明し、中国共産党からの離脱を公に宣言した。記者が政治的な圧力により外国に亡命するのは、「人民日報」創刊以来初の出来事であり、中共最高指導部にとっては激震に襲われたような一大事だろう。
邱明偉氏は、「人民論壇」雑誌の時事特別報道部の副主任を務めていた。今年6月末、国際ジャーナリスト団体が主催する会議に出席するため香港を訪れ、7月1日に香港の民主団体が主催する大規模抗議パレードに参加。その時の写真が撮られてしまい、帰国後、抗議パレードに参加した罪で当局から取調べを受け、国家機密を違法に保有していたとして起訴されていた。
逮捕と重罪判決から逃れるため、同氏は7月末に香港に脱出。アムネスティ・インターナショナルおよび米国領事館に救援を求め続けているが、積極的な対応は受けていないという。
「人民論壇」誌のトップは中国政府系メディアを通して、邱明偉氏が同誌の記者ではないと公表した。 同誌の時事特別報道部の副主任として雇っていたが、仕事の内容は広告の発行などの業務で、契約期間はすでに満了したとの立場をとっている。しかし、「人民日報」公式サイトでは、邱明偉の名の入った取材報道が複数確認されている。
「人民日報」側の上記の説明について、邱明偉氏は8月23日、香港で記者会見を開き、「人民日報」の発言に反論した。広告関係の仕事には携わっていなかったと主張。同紙の関連サイトでは2005年から自分の取材文章を多く掲載してきたほか、同新聞社が報道関係の従業員に提供する社宅の居住権も7月28日まで有効だったと指摘。また、現時点でも同新聞社からの解雇通知は受けていないという。国内多くのメディアは中共当局に操られて、虚偽の関連情報を発信していることについては、「中国共産党の虚言に加担している」と非難した。
同氏によると、香港で亡命申請している間に、滞在する旅館の部屋は2回ほど侵入され、USBのメモリーが持ち去られた。外出時も尾行されており、命の危険を感じているという。
邱明偉氏は記者会見の最後に、次の声明を公表し、記者や出席者に衝撃を与えた。
「私は『人民日報』に務めていたとき、すでに新聞社のパソコンを使って、大紀元時報のホームページで中国共産党からの離脱を宣言しました。今日、私は中国共産党と一切の関係を断ち切ると公に宣言します。少年隊、青年団、党組織を含めて、すべての関係を終結します」。
香港民主支援連合会の司徒华・会長は、「人民日報」は中国当局の主要メディアであり、その従業員は厳しい選抜と審査を受けて採用されている背景を説明した上で、次のように語った。「いま、このような人さえも自由を追い求めている。中共組織が内部分裂しているのが伺える。他の機構では、彼のような人間はさらに多いと確信している。」
同会長は、北京当局の邱明偉氏への迫害は、10月1日に共産党政権が建国60周年を迎えることと関連していることを指摘。「最近、国内の政権異議者と人権活動家への弾圧がますます深刻化している。中共は力の限り弾圧を強化しているようだ。一般の国民への手段もひどいが、自分の組織内部の者、特にトップの国家機構の関係者には、なおさら厳格になっているのだろう」と話した。
現在、邱明偉氏は香港からインドネシアに渡り、同国政府に亡命を申請している。