【大紀元日本10月17日】北京在住の法学博士・許志永氏は10月13日、弁護士10人が有毒粉ミルク事件の被害者たちから提訴依頼を引き受けたことを明らかにした。これに対して、政府当局は新たな抑圧措置を施すかについて、各界が注目している。
海外メディアによると、有毒粉ミルク事件で、すでに数万人の健康と生命に影響を及ぼしたが、中国国内の弁護士は当局の圧力により、この事件にかかわる訴訟案件の代理をできないという。実際、9月に設立されたボランティア弁護士団の活動は当局に禁止された。しかし、この団体に所属する許志永弁護士は10月13日、被害者からの依頼を引き受けたことを明らかにした。許弁護士は、「われわれはネットで連絡方法を公開しており、有毒粉ミルクの被害者たちは、直接にわれわれに連絡することができる。われわれは依頼を公にして引き受けることにしたいからだ」と示した。
これまでに3人の弁護士が有毒粉ミルク事件の訴えの依頼を引き受けたが、当局の介入で裁判所側は未だに受理していない。これに対して、腎臓結石に罹った乳幼児の親たちは賠償請求をし続けると強調した。被害者の劉さんは、「訴えたいが、弁護士は誰も引き受けてくれない。地元の福建省のアモイ市、四川省、湖南省の弁護士事務所へ手当たり次第問い合わせたが、誰もはっきりと答えなかった。もう少し検討して、国家の政策がどうなるかを確認してからとしか言わないのだ」と訴えた。
ある弁護士は「司法部もこのこと(有毒粉ミルク事件)を関与するようになったし、これは極めて異常な現象だ。少し前に、われわれは状況を改善しようと、応援弁護士団を成立させたが、依頼を引き受けられない」と指摘した。
また、複数の弁護士によると、弁護士が有毒粉ミルク事件の訴訟案件を引き受けると、弁護士事務所および地元弁護士協会に報告し、弁護士協会が司法庁に報告しなければならない規定になっている。司法庁はこれらの報告に対して、あらゆる口実を使い、弁護士たちが引き受けた殆どの案件を受けることができないようにしているという。
香港「明報」紙は10月13日付社説で、有毒粉ミルク事件は中国共産党が1949年の政権発足以来、最も深刻な食品安全スキャンダルであると指摘し、原因は乳製品製造者らが利益を貪るために、さらに政府当局による事実隠蔽を加え、国民の命と健康に危害を与えたと非難した。また、当局は、事件の原因究明し、加害者を見つけ出すことに専念するどころか、民衆の賠償要求の動きを抑圧しようとしている。被害者の会を作ることが厳しく制御されただけではなく、弁護士らが行おうとする法的支援も妨害された指摘した。
社説では、当局が弁護士および裁判所に圧力をかけ、親たちの賠償請求を妨害したなら、実質上、親たちの唯一の希望を破り、被害者に対して懲罰し、加害者を奨励することに等しく、まさに本末転倒であると非難した。
多くの実例から、当局は、有毒粉ミルクを製造した企業を守り、腎臓結石に罹った児童を見捨てている。この対応の違いに天地の差があることは誰が見ても明らかである。例えば、国家質検総局局長および各級幹部は、民衆に対して「安心・安全なミルク」を飲むように呼び掛けるために、人々の前でミルクを飲んで見せた。また、今回の事件の加害者をミルク配達所や製造工場であるとして、罪をなすりつけたが、乳製品製造企業に対しては一切追及していない。さらに11日に、中国商務部、国家工商総局、質監総局等6部門から、緊急共同通知を発表し、乳製品生産企業に対して、9月14日前に製造した乳製品の各ロットの検査を求め、合格したもののみ販売できることが明らかになった。
中国社会活動家・曽寧氏は、「有毒粉ミルク事件の原因究明の取り組みや被害者救済の活動が当局によって阻止されている。このこと自体が、この事件の根源である。中国の専制政治体制がもたらした事件であることを如実に物語っている」と指摘した。
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