貴州抗議事件、強化される情報封鎖
【大紀元日本7月3日】中国貴州省瓮(ウォン)安県で発生した大規模抗議事件について、国内在住の作家らは、中国当局の官製メディアの報道や、ネットでの関連情報の封鎖について見解を示し、問題の根源を探った。
今回の抗議事件に1万人を超える市民が参加した。その発端は、6月21日に現地の女子中学生(15)が強姦・殺害された事件。公安当局は、現地行政府幹部の親族である同事件の容疑者を庇うために、女子中学生を自殺と断定、容疑者は無罪となり釈放された。それに抗議し、捜査を求めた女子中学生の親族も公安から暴行を受け死亡した。当局の対応に憤慨した中学生を含む市民約数万人が、県政府と警察本部などを占拠し、建物や警察車両に放火するなど大規模な暴動に発展した。
中国官製メディアの新華社がこの事件について7月1日に報道を出し、政府機構を攻撃する暴動と定義、「党の中央指導部、国務院は同事件を高度に重視し、胡錦濤・総書記が重要指示を下した」「事件の起因はいたって簡単だが、少数の下心のある者に煽ぎ立てられ、我々共産党委員会、政府に公然に挑発する集団事件までに発展した」などと報じ、同事件と現地の幹部汚職問題との関連や、抗議者の汚職幹部に対する納まらない怒りについて、まったく触れず、「少数の下心のある者」や総書記の重要指示の内容について、説明がなかった。
一方、抗議事件発生直後では、国内のインターネットサイトでは、関連の文字情報、写真、ビデオ映像などが流され、多くの関連情報が書き込まれたが、いま、当局はネットでの関連情報の完全封鎖を行い、該当の書込みがすぐに削除される。
米国VOAの7月1日付報道は、「いま、現地では厳しい戒厳が敷かれ、外部との通信が絶たされ、記者の取材も禁止されている。国内での関連の報道は上記の新華社などの官製メディアしかできない」と伝えた。
中国人作家の趙達功さんは米国VOAの取材で、以下の見解を示した。「どうして国民に声を出させないのか。どうして、政府のメディアにしか発言権がないのか。この状況は一つのことを語っている。即ち、今回の抗議事件は単なる騒動ではない。根本的な問題は、共産党政権の不正・汚職が深刻であること、これにより国民の憤慨が爆発した」。
同じく、中国人作家・評論家の田奇庄さんは、「中国各地で大量の社会的対立が存在している。これは不変な現実である。このような状況の下で、中国政府はネット封鎖の措置で民意の表現を抑圧するのは、社会的対立を益々激しくさせるだけだ…問題が長期にわたり解決されなければ、もっと多くの対立を生み出し蓄積させさらに深刻させる。一旦激化したら、収束のつかない局面になる」と語った。
新華社は、現地政府が10人の捜査関係者と専門家を派遣し、女子中学生の死を調査していると報じたについて、香港の人権団体「中国人権民主運動情報センター」の責任者・芦四清氏は、「現地からの情報では、女子学生の遺体は依然川辺に置かれている。現地の公安局もいかなる対応を打ち出していない。現時点までに報じられた捜査を確認できない」と説明した。
現在、現地では2000人以上の武装警察が緊急配置され、町の至るところで巡回、事態は沈静化したもよう。次の写真は市民が大紀元に提供したもの。
棺が置かれる川辺に集まる現地の住民(大紀元)
現地の至る場所に、このような武装警察が駐屯している(大紀元)
死者の父親・李秀華(中)、右は写真提供者(大紀元)
川辺に置かれている死者の遺体をおさめた棺、両親は遺体の火葬を拒否し、調査を求め続けている(大紀元)