日本人の対中国観
【大紀元日本11月14日】戦後既に半世紀以上が経ち日本人も国際化の道を歩み、偏狭な愛国主義も往時と過ぎ、以前程は肩肘を怒らせて外国人に接するような雰囲気もなくなり洋行や舶来なる言葉も死語になって久しい。戦後の一時期は米国への憧れや劣等感も重症ではあったが、時間が経つにつれ米国の偉大さと欠点を等身大で見るようになった。欧米程ではないにせよ国際化の波にも乗ったのであろう。一方、隣国の中国については情報不足もあってか未だに日本人の対中国観にはコンセンサスらしいものが出来ていないようだ。ここ数十年中国と付き合って来た人々の中にも、心のどこかに日中戦争の贖罪意識を持つ人達もいたし、欧米での豊富な経験を持ち中国業務にも精通した人達もいる。心底中国が好きな人達も多いし中には昔の友好商社のように本音はともかく建前として中国については全てを善とし中国人に日本の悪口を言って恥じぬ人達もいる。日本は民主主義国家であり百人百様の考え方があって然るべきであるが、名実共に中国人から尊敬され一目置かれる人達もおれば、そうでもない人達も少なくない。中国人のなかにも立派な人達が多いし、悪人もいる事は間違いのない事実であろう。
北京を筆頭に沿海省市の都市や近郊の発展が目覚しい反面、内陸の農村における三農問題は極めて深刻であり黄土高原ともなると近代化には程遠い状況にある。米国ですらニューヨークだけを見て判断すれば間違うように中国も近代化された部分だけ,或いは内陸部の農村だけを見て全体を判断すると間違った結論になろう。中国は巨大な国家であり体制も違う。限られた情報から全てを類推すれば管見になり、さりとて全て中国側の発表に全て同調するのも如何なものか。 矢張り個々の見聞や中国に関する限り遠慮の過ぎた若しくは偏向したマスコミの情報であっても極力客観的に咀嚼して判断するほかはない。つまり眼光紙背に徹するよう心掛けたいものである。
中国の情報について特に目立つのが中国当局による徹底した情報操作である。残念なことに中国当局の統制が全ての分野に及び、その公式発表のみで外国人が全てを俯瞰して評価するのは至難の技である。その結果,貿易でこそ切っても切れぬ関係にあるが、反日デモとか、日本の経済水域に隣接する海底ガス資源開発或いは日本の国連常任理事国への反対等も含め、日本人の中国への見方には、漠然とではあろうが警戒心や反感を持つ人も多くなった。一方,中国でも偏った教育の結果や当局の誘導の結果なのか日本に対する反感が異常に強いと聞く。中国人は最早政府の見解に重きを置かないらしいが、こと反日については例外のようだ。中国当局の情報操作にもそれなりの理由と戦略もあるのだろうが困ったものである。