5千年前の陶器にも中国舞踊図が
中国青海省大通県で出土した彩陶鉢には、五人一組で構成された三組の人々が手を繋ぎ、同じ方向を向いて大きな輪になって並んでいる図が描かれている。彼らはみな頭に小さなお下げのような飾りをつけ、身体を同じように揺り動かして踊っている。これは「連臂踏歌」といい、民間の歌舞形式の中で現代まで伝わっている。
出土した彩陶鉢は、炭素14法(放射性炭素年代測定法)によって、約5千年~5千8百年前の仰韶文化の遺物であり、年代を確定できた文物の中で最も古い原始舞踊図だということが判明している。
同じく新石器時代の楽舞紋飾の陶器として、甘粛省酒泉県干骨崖で出土した陶缶(筒状の陶器)がある。内外両面に三人一組で構成された六組の女性が描かれている。彼女たちは細腰にスカート姿で、両手を腰に当てて踊っており、韻律感がかなりある。
また、同じく青海省地区で出土した宗日彩陶鉢は、内側に13人と11人に分けられたグループの踊り手が、やはり肩を並べて踊っている姿が生き生きと描かれている。
新石器時代の宗日彩陶鉢(紀元前3300年~前2050年)(ネット写真)
これらの陶器に描かれた人々の姿から、原始舞踊は当時の社会において重視されていたことがうかがえる。
このほか雲南省滄源県、内モンゴル自治区の陰山、新疆の崑崙山峠、寧夏ウイグル自治区の賀蘭山などの地域には、5千年以上前の岩石壁画があり、ソロダンス、デュエット、グループダンスなどの様子が描かれている。なかでも、賀蘭山壁画の中の舞踊図には、衣装飾りを付けた人々が、上の彩陶鉢に描かれた踊り手のように並んで踊っている様子が描かれている。
雲南省滄源県の壁画(ネット写真)
中国舞踊文化の整理に尽力する北京舞踏学院・孫穎教授(76歳)は、「河南省舞陽県では、今から約8千年前の新石器時代に作られた笛が出土した。それは鶴の骨でできており、7つの穴が開いている。音楽文化と舞踊文化は並行していることから、この笛の発見は、中国舞踊の歴史が長く豊富であることを示している」と話している。
河南省舞陽県で出土した遺物:7つ穴の骨笛(右、長さ22・7cm)、符が刻まれた亀の甲羅(左上、16・2cm)、炭化したもみ(左下)(ネット写真)