デンマーク五輪委員会:北京五輪出場予定選手に、中国人権状況の情報提供を決定

【大紀元日本9月9日】デンマークオリンピック委員会と同国体育連盟はこのほど、今年11月と来年6月にアムネスティ・インターナショナル(以下、アムネスティ)と共同主催シンポジウムを開き、五輪選手たちに対して、中国人権侵害の現状を紹介することに決めた。人権侵害が続いている中国で予定されている北京五輪の開催を疑問視する動きが国際社会で高まっているが、五輪関係者らが、五輪主催国の人権侵害問題を五輪出場予定選手らに紹介し、情報提供するというのはデンマークが初めて。

デンマーク大手新聞紙「ポリティケン(Politiken)」はこのほど、「スポーツ選手に警告:中国オリンピック宣伝に用心せよ」を題した文章を発表した。6年前に国際オリンピック委員会(以下、IOC)が北京五輪の開催を決定した際、世界中の主要国家の指導者らはこの決定を賞賛した。これに対して、アムネスティをはじめとする人権団体は、中国共産党政権が13億の中国人に対して、大規模の人権侵害が行われていることを警告し続けた。しかし、デンマーク五輪関係者は依然としてIOCの決定を支持した。ところが、北京五輪開催まで1年を切り、デンマーク五輪関係者らは、アムネスティが発した警告を厳粛に受け止めるとし、五輪に参加する選手たちに対して、中国北京の内部政治や人権侵害の状況について情報提供を決めたという。

*2回の情報シンポジウム、中国人権状況を紹介

シンポジウムは、今年11月21日および来年の6月に開く予定で、それぞれが北京五輪に出場する可能性のある選手たちと、五輪出場決定の選手を対象に、中国人権状況を紹介することになっている。

報道によると、一年半前から、デンマーク体育連盟に対して定期的に中国人権侵害の情報を送り続けたアムネスティのデンマーク支部国際業務協調人のヤキム・ランドストロム氏は、今年5月にデンマーク体育連盟主席ニルス・ニガード氏などの上層部に、今回決定されたシンポジウムで1時間の講演の依頼を受けたという。

ランドストロム氏は「1時間しか与えてもらえなかったが、まったくないよりはましだ」と語った。「これから先の1年間にIOCと対話ができることを期待したい。体育連盟とIOCは、中国は深刻な問題を抱えていることは分かっているはずだ。中国の人権は彼らが望む通りのものではないのだ」と指摘した。

講演内容について、ランドストロム氏は、「中国では毎年少なくとも8千人が処刑されている。中国当局は何の裁判も行わないまま、反体制派を強制労働収容所に入れ、人権弁護士を弾圧している。また、ネット警察として3万人を動員し、ネット検閲と封鎖を行っている。中国当局は外国人記者に対して、これまでに比べ、少しは自由を与えているが、同時に、中国人記者に対する監禁が強化された。当局は政府に対して批判的な態度を取っている活動家を自宅監禁するか、強制労働収容所に収容している。とにかく、IOCは北京で今尚続いている人権侵害問題だけではなく、オリンピック憲章に違反していることに対して、立場をはっきり示さなければならない」と強調した。

*北京当局の粉飾に手を貸してはいけない

ランドストロム氏は「我々の目的は、デンマーク選手が中国政府の宣伝を認識し、中国滞在中に批判する態度を持って欲しい。勿論、多くの五輪選手が中国当局に対して、公に批判することがとても良いことだ。選手が北京五輪に出場することは、北京当局の粉飾に手を貸すことになるのだから、北京に行かなければ、なお喜ばしいことだ」と語った。

報道によると、スウェーデンおよびノルウェーの体育連盟もアムネスティと同様の情報シンポジウムを開くことになっているという。ランドストロム氏は、北京五輪開催まで、北欧以外の国々とその体育連盟などと連携を図ることを明らかにした。

(記者・林達、翻訳・余靜)
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