みなと横浜 歌声はひとつ
【大紀元日本5月15日】ちょっと不思議な一日の最後に、この日記を書いてみましょう。
5月13日、横浜の「みなとみらい」地区にあるクイーンスクエアの野外ステージで、「世界法輪大法デー祝賀祭」が開催されるときいて行ってみました。
私自身は法輪功の学習者ではないのですが、出演する人のなかに私のよく知っている友人が多くおりましたので、ぜひ応援しにいってあげたかったのです。
応援といいましたのには、少々訳があります。その出演者の皆さんは、前日にも神戸で同じような公演をした後、すぐさま車で深夜の東名高速を移動。横浜に、早朝4時に着いたばかりで今日の公演に臨むという、超がつくほどのハードスケジュールをこなし、おそらく肉体的には疲労困憊のまま踊ることが予想されたからです。
もちろん法輪功の皆さんにとって、今日は最も喜ばしいお祭りの日ですので精神的には高揚しておりますし、今回は一般のお客様に見ていただくことを第一に考えて野外ステージにしたそうですから、たとえヘトヘトに疲れていても、なんとか頑張って見事な踊りを見せてくれることを信じて応援してあげたかったのです。
私が着いたのは午前11時、ちょうど第1回目の公演が始まるときでした。
優雅な唐朝の舞踊から始まったプログラムでしたが、開始のわずか20分後、突然、音響機器の調子が悪くなり、ついには全く音がでなくなってしまったのです。
予想外の突発事故でした。パレード用の拡声器などで代用を試みてはみたものの、音質も音量も全く不足しており、とても役に立つものではありませんでした。
すべてはこの日ために、きびしい踊りの練習をかさね、法輪功が誤解されないよう必死の説明をして会場を確保してきたのです。
その苦労が報われるはずの今日、このように絶望的な事態になってしまうとは一体どういうことでしょうか。私は観客席から、はらはら気をもみながら見ていたのですが、スタッフの顔色が暗澹としてくるのがはっきりと目に映りましたし、美しい衣装を着て立っている舞踊の女性たちが、今にも泣き出しそうな表情になっているのがとても辛くて見ていられませんでした。
ときおり吹きつける強い海風が、装飾のゴム風船をちぎり飛ばしていくのがどれほど恨めしく思われたことでしょう。音響機器の故障という致命傷をうけ、午前中に予定されていた第1回目の公演は、全く精彩のないまま早々に切り上げられました。
なんとかしてあげられないものかと思っていたその時、何やら向こうで動きがあったようです。
どこから持ってきたのか、大型の、しかも野外用の音響機器がステージの左右にとりつけられました。大きな体格の、西洋人らしい人がその中心になって作業しています。
すると、さっきまで泣きそうな顔をしていた舞踊の女性たちの表情が、ぱっと花が咲いたように明るくなり、その彼女たちから一斉に拍手がわきあがったのです。
これで踊れる! 彼女たちの表情が、その喜びを爆発させていました。
スピーカーから流れ出た音楽の、その音質の良さに観客も驚かされました。これで舞踊の女性たちは勇気百倍となり、前日からの疲れも吹き飛んで、第2回目から4回目までのステージでは、すばらしい踊りと歌を披露してくれたのです。
特に、新しい演目「千手観音」の美しさに、私もふくめて初めてこれを見た日本人の観客は思わず息をのみました。
「神々しい」とは、めったに使われない形容詞ですが、この場合は迷わずに使っていいでしょう。まさに神々しく、気高く、仏光の輝くような見事な「千手観音」でした。
ところで、先ほどの音響機器はどこから借りてきたのでしょうか。
あとで聞いた話によると、こういうことだそうです。
第1回目のステージは、目も当てられないほどの大失敗でした。故障した機器を修理することも、すぐにはできそうもありません。
スタッフ・出演者の全員が困り果てていると、たまたま会場を通りかかったアメリカ人の大道芸人の人がその様子を見て、「どうしたのですか?」と声をかけてくれたのです。
スタッフが事情を話すと、なんとその青い目の大道芸人さんが、「じゃあ、僕のを使っていいですよ」と、ご自分がその日に使う予定だった音響機器をそっくりそのまま貸してくれたのです。
奇跡だ、と貸していただいた側の全員が、喜びのあまり身体が震えました。
その大道芸人さんは、千葉県市川市在住のデイビット・クレイパッチさんという方で、長年日本にいて日本語もお上手なうえ、中共による法輪功迫害のこともよくご存知の方でした。その日は、デイビットさんのご両親がアメリカから来日していて、しかも横浜のこの会場に来ていらっしゃったそうです。
結局、デイビットさんのご契xun_モに甘えて、今年の「法輪大法祝賀祭」は大逆転の大成功をおさめることができたわけですが、それにしてもこのような奇跡が本当にあるものかと思わずにはいられません。
法輪功学習者の皆さんにすれば、「これは師父が助けてくれたのだ」と、法輪功の創始者である李洪志先生のおかげと考えるのに何の不思議もないのでしょう。
それは法輪功のただの思い込みですよ、などと水を差すつもりは今日の私にはさらさらありません。法輪功学習者ではない私でさえ、そのように考えなければ、この嬉しい奇跡を自分で納得できない気分なのですから。
おそらく、李洪志先生はもちろんですが、迫害で亡くなった人々の霊魂がすべてこの横浜に集まってきて、私たちに勇気と力を与えてくれたのでしょう。
おかしなことを書いていると、読者には思われるかも知れませんね。ただ正直に言って、今日の私は、そのような目には見えない不思議な力を信じ、心から敬いたい気持ちでいっぱいなのです。やわらかな天の采配に、私も感謝と祈りを捧げましょう。
午前中に吹き荒れた強い浜風も、いつのまにか肌に心地よい微風となっていました。
第4回目のステージが終わりに近づいたときは、もう夕闇にちかい薄暗さでした。
数々の困難を乗り越えて大役を果たした出演者・スタッフの皆さんと、それに惜しみない拍手をおくった観客とが一体となり、ともに声を合わせて歌をうたいました。
山川こえて あなたのために来た あなたを愛してる
それは法輪功の人々がいつもうたっている歌なのですが、それを法輪功以外の人がうたうことに、もはや何の違和感もありません。もちろん私も一緒に口ずさんでいました。
そのような幸福感にひたった一日ではあるものの、中国においては、今日も中共の迫害のため生命の危険にさらされている多くの人がいることは本当に悲しむべきことです。
今日のこの日を、新たな誓いの日として、私たちはまた頑張っていきましょう。
まもなく深夜0時、日付が変わります。
新しい心でスタートしたいものです。