米議会人権委:脱北者ら、公聴会で証言

【大紀元日本5月1日】米国の「2007年北朝鮮自由化週間」(4月22日~29日)で、北朝鮮自由聯盟、非政府組織および人権活動家などが、一連の活動を共催した。4月24日、米国議会人権委員会が脱北者を対象に公聴会を開き、脱北者数人が、中共当局によって強制北送された悲惨な状況を明らかにし、中共当局の五輪開催資格について疑問を呈した。公聴会では、カリフォルニァ州のエドワード・ロイス下院議員が議長を務めた。

北朝鮮自由聯盟のスーザン・ショルティ会長は、北朝鮮政府の政治迫害と飢餓から逃れ、生きる道を求めるために、大量の脱北者が中国東北部に脱出したと指摘、「中共当局は国連の難民条約の署名国であるにも関わらず、難民に避難所の提供を拒否する上、如何なる合法的な身分を与えるのをも拒んできた。その結果、多くの難民は悪徳業者の食い物にされた」と非難した。

ショルティ会長は、「これらの脱北者は本来、様々なルートで彼らを保護できる国が救出できるのだが、中共当局は人道的な行動を取らずに、脱北者らが地獄のような拷問を受けるのを承知しながら、北朝鮮に強制送還する。これに留まらず、中共当局は脱北者の国外脱出を支援する活動家を逮捕・強制送還したりもしている」と説明した。

数人の脱北者と救援活動家らは、中国東北部から北朝鮮に強制送還された後の悲惨な体験を説明した。

中共当局に監禁されたことがある脱北者救援活動家の朴牧師は、ロイス議員の働きかけで米国に救出された。同牧師は、「中共の経済は確かに発展したが、道徳と文明のある国ではない。多くの脱北者は中国領内で地獄のような生活を送っていた」と明かし、ある脱北者の若い女性などは、中国領内の農家に売り飛ばされ、その農家の兄弟5人から毎晩、性的暴行を受けているとの実例を挙げた。同牧師によると、類似の例は数え切れないほどあるという。証言の最後に、同牧師は、中共当局が統治する中国では、道徳基準が非常に低く、2008年北京オリンピックを開催する資格がないと指摘した。

公聴会で証言する朴牧師(大紀元)

李牧師も、中国領内で脱北者を救出しようとしたため、中共当局に逮捕・監禁・リンチされた。その後、同牧師は北送され、様々な拷問を受けた。李牧師は自らが救援しようとした脱北者の若い女性について例証し、「この女性(25)は、中国領内に脱出した後、23回も人身売買されていた。人身売買の闇業者が彼女を売り飛ばした後、すぐに警察を装い彼女を逮捕し、次の買主に売り飛ばす。このような手法を繰り返して、23回も売買されていた。このような生き地獄のような生活に、彼女はひたすら耐え続けるしかなかった」と証言した。

脱北者のゆみこさんは、「私は、日本で生まれ、両親はともに北朝鮮の高官、自分は体操の教師で、生活は一般の北朝鮮人より遥かに裕福だった。自分も北朝鮮政府の擁護者だった。金正日総書記は絶大なパワーの持ち主で、北朝鮮を率いて米国を越えられると堅く信じていた」と証言した。

公聴会で証言するゆみこさん(大紀元)

1995年、餓死した人々の死体を埋める作業を強いられたゆみこさんは、実体験を明らかにした。彼女の証言によると、昼間には死体を秘密の場所に隠し、夜になると、郊外で大きな穴を掘り、隠していた死体を埋める。35日間このような恐怖の仕事を繰り返した後、彼女の精神状態が限界に達し、ついに倒れて入院した。彼女曰く、「そのときから、脱北したい」と考えるようになったという。

ゆみこさんの証言によると、脱北に成功後、日本に渡ろうとするときに、中共公安に捕まり、北朝鮮に強制送還されたという。ゆみこさんは、北朝鮮に強制送還される途中に何度も自殺を図ったが未遂に終わったことや、北朝鮮の刑務所で受けた拷問などを回想した際に、幾度も感情を抑えきれず泣き出した。

カリフォルニア州のエドワード・ロイス下院議員は、「長年来、中共当局は脱北者の取り扱いにおいて、署名した国連難民条約を全く履行せず、脱北者を逮捕・強制送還し続けている。2008年北京オリンピックの開催で、中共が世界の注目の的になる。これは中共当局が非常に気にしていること。中共当局が国際社会に仲間入りしたいのであれば、必ず履行すべき責任を果たさなければならない。中共当局が引き続き脱北者を強制送還したり、難民救援の活動家を拘束したりすれば、我々は看過できない。我々は世界に向けてメッセージを発信し、圧力をかけていく」と強調した。

公聴会の最後に、ロイス議員は、「北朝鮮はまるでアジアのダルフールだ。(スーダン領内の無法地帯)。最近、このようなスーダン政府を支援してきた中共当局は少し譲歩した。これは明らかに国際社会の世論の圧力による結果だ。だから、我々は沈黙してはならない。中共当局が態度を変え、正義を尊重し、しかるべき方向に発展するのを促すために、我々は行動を起こさなければならない」と意気込みを語った。

(記者・薛利)
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