【季節のテーブル】東大寺「お水取り」
【大紀元日本3月13日】「天平の風薫る752年に、奈良・東大寺のお水取りが始まりました。3月1日から14日まで、二月堂で華厳の法要が行われます。3月2日に若狭の国の鵜の瀬で水送りの儀式が行われ、ここで汲み取られた若水が東大寺・二月堂に送られて使われます。3月12日の深夜から13日未明にかけては大きな籠松明(かごたいまつ)の火の粉がざんざと舞い、お勤めを果たす連行衆(れんぎょうしゅう)が、疾風のように400年の時を走るハイライトがあります。
火の粉と聖なる水の流れが、宇宙の真夜中で一つに溶け合うのです。印度渡来僧といわれる実忠(じっちゅう)は、素晴しい菩薩の行法を竜穴のヴィジョンの中で見ました。天界の一日は娑婆世界の400年に相当すると聴かされます。この行法をこの世で実現するために、天界の時の速度に間に合わせることを約束して天神の許可を得ます。連行衆は時の神「ヒ=400年」の速度で、一昼夜を荘厳に走るのです。
世界の人々に成り代わって罪を懺悔する菩薩行が、お水取りで行われます。東大寺と縁(えにし)を結んだ人々の過去帳が読み上げられ、すべての罪障が聖水(香水・こうずいと呼ばれます)によって洗い流され、天上界の炎によって焼き尽くされます。水と火による神(火・水=かみ)のワザによって成し遂げられるのです。過去帳に記載のなかった青衣(しょうえ)の女人の名も、忘れずに小声で唱えられます。縁なき衆生の罪を贖(あがな)ってこそ完成するお水取りの菩薩行は、永久の時をこの世に繋ぐ神速の「ヒ」走りの技を伴い、時を越えてまばゆく闇夜に輝くのです。
(イザヤ・パンダさん)
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