千葉・幕張:日韓移植フォーラム、海外渡航移植をテーマに

【大紀元日本9月13日】第42回日本移植学会総会が9月7日から3日間、「基礎研究の成果を臨床へ」をテーマに幕張メッセ国際会議場で開かれ、日本の医療関係者を中心におよそ500人が参加した。基礎研究から臨床、倫理面の研究まで約400題近い講演や研究発表が行われた。合同開催した日韓フォーラムでは、海外渡航移植が取り上げられ、英国・王立リバプール大学のロバート・セルズ教授が中国で臓器を強制摘出するような深刻な人権問題が存在すると指摘、日韓両国の移植学会が共に対処すべき喫緊の課題であることを強調した。

総会は、7日の理事会や運営会議を経て、8日から正式に始まった。開会式で落合武徳会長(千葉大学大学院先端応用外科教授)があいさつした後、そのまま東京女子医大の手術室から鏡視下ドナー腎臓手術の様子が大画面で放映された特別企画を皮切りに、移植技術から看護など幅広い分野について、講演やシンポジウム、セミナーが開かれた。

通常の医療は、医師と患者の関係で完結するが、臓器移植については臓器提供者であるドナーという第三者が存在することから、人の生死に関わる社会的な課題を抱えている。近年では、ドナー不足から、短時日でドナーが見つかる中国での渡航移植が増加しており、法律的な規制や倫理的な問題など課題が残されている。

2年ごとに交互に開催している日韓移植フォーラムでは、韓国の強い要望により海外渡航移植が取り上げられた。韓国のサムソン・メディカル・センター外科部門のソックー・リー氏によると、海外渡航移植ではドナーや臓器の入手について情報が得られず、手術までの経緯が不明であることから、術後の管理にも問題を残しているという。

日本側は、厚生労働省から海外渡航移植の調査を委託された研究班の主任研究員を務めた小林英司教授(自治医科大学)が、同調査について報告。教授によると、海外渡航移植は日本国内で問題になっている倫理面も含んでおり、社会的にも関心が深まっている。1997年に臓器移植法が制定されてから、幼児の心臓移植への臓器提供は増加し、生肝移植例も増え、他の疾患にも新たな選択肢として道を開いたが、ドナー不足から海外渡航移植の件数が増え、今回の調査では海外で心臓、肝臓、腎臓の移植を受けた患者は、少なくとも453人との調査結果を公表した。問題解決には、移植医療の進歩への継続的な努力と学術分野での国際協力が不可欠であるとし、さらなる調査で実態を把握する必要があるとした。

フォーラムの参加者によると、英国の王立リバプール大学のロバート・セルズ教授は、「勇気ある中国人記者が提供した」(同教授)とされる、中国での死刑執行の現場の写真を提示し、処刑の現場で必ず医者が臓器を摘出するために待機しているとの内部情報を明らかにした。「もし自分たちが中国の医師であり、中国当局からこのような臓器摘出の仕事を要求されたら、拒むことはできる人は何人いるでしょうか」と教授が質問したという。

最終日の9日には、一般演題として市立札幌病院腎移植科・原田浩医師らの「海外渡航臓器移植の現状報告―移植後当科受診患者の検討」が発表され、1997年以降に同科に通院した海外移植患者12名について背景因子や移植成績、有害事象、倫理面について検討した結果を報告した。移植患者の中には、処刑者からの臓器提供が行われていることを知りながら倫理的に問題ないとし、さらに友人への紹介を考えているものがいると指摘、「渡航移植は、移植直後の腎機能は良好であるが、合併症、特に、感染症発症が多く、医学的にも問題である」と結んだ。

総会最終後の記者会見では、あるテレビ局記者が今回の会合で中国人医師が講演する予定だったが、実現しなかった理由について質問したところ、日本移植学会の田中紘一理事長は、先方の都合で会議に参加できなかったと答えた。

また、同記者は、会場周辺で中国の臓器狩りを暴露する集会活動が行われていることについて、総会側の感想を求めた。それに対し、理事長は、基本的には中国で進行しているこのような違法な臓器摘出には反対しているとの見解を示した。

再現された臓器狩りの手術場面(大紀元)

総会会場の周辺や京葉線海浜幕張駅前広場などでは、法輪功学習者を対象とした中国の臓器狩りに関する抗議活動が行われ、日本全国各地から数十人の法輪功学習者や中国から帰国した残留孤児、支援者などが集まり、中国共産党(中共)政権下で実際に行われている残虐な臓器狩りの生々しい場面を演じ、迫害被害者の写真パネルなども多数展示、道行く人の注目を集めた。

主催者のNPO法人・日本法輪大法学会によると、今回の活動の目的は、同期間に国際会議場で開かれていた日本移植学会総会に参加する日本と韓国の医療関係者に中国での違法な臓器移植の現状を訴えると共に、日本社会に中共政権による法輪功学習者への集団弾圧の真相を伝え、生きている法輪功学習者の臓器を強制摘出する蛮行を一刻も早く止めさせるよう呼びかけるためであるという。

参加者らは、中国で進行している臓器狩りの手術風景を演じ、「中国共産党による法輪功への集団虐殺を止めさせよう」「中国共産党の臓器狩りを止めさせよう」、「中国・臓器狩りの国際調査にご協力ください」などの横断幕を掲げ、カナダの独立調査団による調査報告書などを街頭配布し、医療関係者や通行人に虐殺への抗議を訴えた。

関連記事
台湾の外科医が中国での違法な臓器移植仲介の罪で起訴された。今回の起訴は台湾での2015年の法改正以来、初めて。強制的生体臓器摘出が再燃する中、医療倫理や人権問題が焦点となっている。
12月10日、中国で厳しい弾圧の対象となる気功、法輪功の日本在住の学習者による証言集会が開催された。出席者は中国で家族が拘束されている現状や、自身が拘束中で受けた拷問の実態を訴えた。現在米国在住の程佩明さんもオンラインで参加。程さんは収容中に、拷問を受け、臓器を摘出された実体験について語った。
ドキュメンタリー映画『国家の臓器』が上映された。映画は中共による、生体臓器摘出の実態を描いており、映像を見た観客からは「非常に非人道的な行為だと強く感じた」「もっと多くの人に事実を知ってもらう必要がある」などのコメントが挙がった。
中共による臓器摘出から生還した程佩明さんが真実を告白。暗殺の危機に直面しながらも、真実を語り続ける姿勢に世界が注目し、米国も保護を進める。人権侵害の実態に対する国際社会の連帯が求められている
中国の中南大学湘雅第二病院に勤務していた羅帥宇氏が、不審な死を遂げた。生前の録音から、同病院が臓器移植研究のために子供のドナーを求めていた可能性が浮上。彼の家族は、羅氏が病院告発を計画していたことから口封じされたと主張している。