中国:視覚障害の人権活動家、当局主導の密室裁判受ける
【大紀元日本8月21日】山東省の盲人人権活動家・陳光誠は、省政府が「計画生育政策(一人っ子政策)」を執行するために、7千人あまりの妊婦に対して強硬に人工流産させた事実をワシントン・ポスト紙に告発したことで、当局から圧力と嫌がらせを受けた。のちに、6月10日に「公共財産を損害、故意に交通を妨害」との罪で勾留された。同件について、8月18日午後2時に山東省臨沂の沂南裁判所にて秘密裏に開廷され、午後4時30分ころに終了し、裁判官は判決を言い渡さなかった。
陳氏の妻、母親および被告側弁護士は共に、法廷の入場が許されず、同氏の3人の兄のみ傍聴した。裁判所の前方道路は左右100メートルまでの範囲で警戒線に区画され、範囲内の住民も出入りすることができなかった。さらに、道路の両側に多くの警察および私服警察が警戒していた。
また、17日夜、窃盗の罪に陥らされた陳氏を声援する許志永弁護士は、18日の午後5時30分に解放された。ほか陳氏の応援に、沂南裁判所へ駆けつけた多くの弁護士および人権擁護人士も行動の自由が制限され、楊在新弁護士および四川民主擁護人士・黄暁敏は、18日午後1時50分ころに、沂南裁判所の入り口で7~8人の警官に殴打され、新城派出所へ強制的に連行された。楊氏は、こめかみ、頭の頂、左足に怪我を負ったという。
一方、北京側の人権擁護運動家の多くも行動の自由が制御されたという。例えば、臨沂へ応援に出かけた斉志勇氏は警察に強制的に連れ戻されたという。趙シン氏、李海氏、李金平氏、劉荻氏等は、17日より自宅で軟禁されたという。
陳氏を応援する胡佳弁護士は、「高智晟および陳光誠をめぐる事件は、山東省および北京当局はまったく同じやり方だ。シナリオ、演出など、すべて同じ手口だ」と語った。
2006年6月26日、弁護士たちが2回目の山東省行き、胡佳は陳光誠を応援するTシャツで行動した。「陳光誠シャツ」が初めて山東省に現れた(写真提供:胡佳)
弁護士は裁判所側が指定
一方、裁判所では、陳光誠氏が申し込んだ弁護士委託の件を拒否されたのを受け、北京の弁護士たちは開廷を延期するよう求めた。しかし、裁判所は同申し込みを却下し、裁判所側が指定した2人の弁護士をつけた。陳氏はこの決定に対してその場で強く抗議をした。
胡氏によると、2人の弁護士は検察側の言いなりになっており、裁判の全過程において、すべてが「異議なし」としか言わなかったため、有罪を認めることに等しいのだと指摘した。胡氏は、開廷内容からみて、今回の裁判は強制的な開廷であると指摘した、裁判の結果も強引なものになるだろうと推測した。
胡佳はひと夏中、陳氏を声援するTシャツを着用
(左から順に)陳青林、李海、趙シン、楊寛興(写真提供:趙シン)
英国外交官と胡佳氏の面会が阻害された
胡氏は17日、高智晟および陳光誠の両氏が強制的に連行、勾留された事件を駐北京英国大使館に連絡した。英国大使館職員は強い関心を示し、同件の詳細を知るために、胡氏の自宅を18日の午後2時30分に訪問することにした。
しかし、約束時間の少し前に、胡氏の自宅の周りに30数人の警官および保安隊が警戒テープを引き、胡氏の自宅へ通じるすべての通路を封鎖した。その後、英国外交官から胡氏宛てに電話連絡が入った。外交官が乗ったタクシーは小区の入り口で小区安全の責任者と自称した者に止められて、尋問されたという。また、その人から、警戒テープより向こうには公安事件が発生したとし、小区内の住民でなければ、入ることはできないことを外交官に告げたという。外交官は両国間の政治な問題への発展を懸念し、訪問を諦めることにした。
胡氏は、陳光誠の件で、7月17日からすでに32日間当局に自宅に軟禁され、いまだに外出することはできないという。胡氏の妻も外出時に警官に監視・尾行されるという。胡氏は、妻を尾行する警官らは、曾金燕および高智晟弁護士を尾行し暴行した者であることから、妻の安全を懸念している。
胡氏は国際社会に対して、高智晟弁護士の強制連行および陳光誠氏の裁判動向に強い関心をよせるよう呼びかけた。